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経理業務を効率化!DX(デジタルトランスフォーメーション)推進を徹底解説

投稿日:2024年12月16日

更新日:2024年12月16日

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この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。

経理業務のDX化を解説

昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業が急増しています。

デジタルプラットフォームやスマートフォンの発達により、さまざまな業務やサービスがデジタル化していくなかで、企業もその変化に対応していかなければなりません。

本記事では、このような世の中の流れのなかで経理のDX化を進めようと考えている経営者や経理担当者の方に向け、経理DXの導入手順や具体的な事例について解説します。

企業はどんな理由でDX化を進めるのか

経理DXの背景

経理のDXに取り組む企業が増えています。

なぜ、経理のDXが必要なのでしょうか。その背景には、以下の要因があります。

コスト削減の必要性と人材不足への対応

特に、中小企業の経理業務はペーパーレスが進んでおらず、DX化が遅れている領域です。

その主な理由として、初期費用の負担やシステム導入に手間がかかること、さらにはDXを推進できる人材が不足していることが挙げられます。また、従来からの紙の書類への依存が続いていることも、DX化を遅らせる要因となっています。

しかし、これからの時代は、経理のDX推進が不可欠となっていくでしょう。次に、その必要性とメリットについて詳しく説明します。

DXとは

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略語で、企業がIT技術を用いて業務やビジネスモデルの変革を起こし、企業価値を向上させることをいいます。

経理のDXにおいては、電子化により経理の工数を少なくすることで、雑務に費やす時間が圧縮され、企業がコア業務に集中する時間を生み出せます。

また、前述のとおり少子化により働き手が減少していることから、経理のDX推進は今後避けられないでしょう。

人材不足への対応

人材不足は、経理部門が直面する大きな課題となっています。

特に、決算業務や税務、財務といった経営に関わる高度な専門知識を持つ経理人材は不足しがちです。このような人材の育成は、多くの企業にとって重要な課題となっています。

DXにより単純作業や定型的な業務を自動化することで、作業時間を大幅に削減できます。その結果、経理スタッフはより専門性の高い業務に時間を使えるようになり、結果として、効果的な人材育成が可能になります。

さらに、少子化の影響で働き手自体が減少している現状も、この課題に拍車をかけています。

このように、経理のDXは人材不足への有効な解決策となるのです。

電子帳簿保存法への対応

電子帳簿保存法の改正により、企業の会計業務は大きな転換期を迎えました。この法改正に対応するため、会計システムを変更した企業も多いかもしれません。

近年、リモートワークの普及に伴い、契約書や請求書のやり取りも電子化が進んでいます。従来の郵送に代わり、電子メールでの送付が一般的になっています。

この流れを受けて、電子帳簿保存法では、電子データで受け取った書類は紙に印刷せず、データのままで保存することが義務付けられました。

このような法改正に適切に対応するためには、最新の法改正に対応した会計システムによるDX化が有効な手段となります。DX化を進めることで、法改正への対応を円滑に進めることができ、同時に業務の効率化も実現できるのです。

経理DXにはどのような恩恵があるのでしょうか

「記帳代行」と「経理代行」それぞれ何を依頼できるのか

経理DXのメリット

DXの最終目的は、企業の競争力強化です。DX化を進めることで、業務プロセスの改善を含むさまざまなメリットが会社にもたらされます。特に経理部門では、DXによる恩恵が大きく、会社の成長に重要な役割を果たします。

業務効率化

経理業務におけるアナログな作業は、業務効率化の大きな障害となっています。

たとえば、社内稟議や経費精算、支払依頼などの業務では、従来、紙の書類に上長や部門長、役員の承認印を得る必要がありました。これは、承認者が不在の際に業務が停滞するなど、効率性低下の原因となっています。

こうした作業フローをデジタル化すると、承認者は、モバイル端末を使って外出先からでも承認作業が可能になります。

このように、DXを通じて業務の流れ全体が見直され、作業を効率化することで会社全体の生産性向上につながるのです。

経営状況の可視化

会社がビジネスの変革を進めるにあたって必要となるのは、現時点の経営状況をタイムリーに把握することです。

上場企業では、DXにより前月の収支の速報値が月初5営業日程度で把握できるなど、経営状況の判断が飛躍的にスピードアップするほか、外部の株主に対する情報開示の迅速化を実現しています。

中小企業においても、経理DXにより、前月の会社全体の売上を月初に自動集計して確認できるようになれば、経営判断のスピードと質の向上が期待できます。

働き方改革の実現

DXによりデジタル化が進むと、リモートワーク推進の一歩にもつながります。

クラウドシステム導入の結果、在宅業務の割合を増やしたり、どこにいても同じように仕事を進められたりなど、働き方が大きく変革します。

働き手にとって、リモートワーク可能かどうかが就職や転職のひとつの基準になる時代なので、優秀な人材確保のためには、働き方の選択肢を増やすことも企業にとって重要です。

経理DXはどんな流れで進めれば良いのでしょうか

経理DXの推進手順

経理のDX化にあたっては、PCなど基本的な環境が整っていることが前提です。クラウドのシステムを利用する場合は、PCがインターネットに接続してある必要があります。

そのうえで、以下の手順でDX導入を進めることになります。

業務プロセスの洗い出し

経理のDX化は、まず業務プロセスを洗い出すことから始まります。

たとえば、経理業務のメインとなる会計処理業務については、以下のような業務プロセスが考えられます。

1.日時業務、2.月次業務、3.年次業務

このように、業務を細分化し、それぞれの業務に適したシステムを検討することからDX化がはじまります。

会計システムの選定と導入

経理DXの核となるのは、会計システムの導入です。

DXと相性が良いのは従来の「スタンドアローン型」ではなく、「freee」や「マネーフォワード」などのクラウド型会計システムです。

スタンドアローン型の場合、特定のPCまたはサーバーにシステムをインストールするため、作業者やデータの保管場所も固定されてしまいます。

それに対して、クラウド型の場合は、アカウントがあればブラウザで会計システムへアクセスできるため、作業場所を選びません。

さらに、スマートフォン対応のサービスであれば、経営者はスマートフォンでリアルタイムに情報を把握できます。

税理士との連携も容易になり、エクセルやPDFデータを出力して渡す、といったやりとりがなくなり、決算業務の効率化が可能です。

法改正などのアップデートもシステム側で自動的におこなわれるため、メンテナンス費用を別途支払う必要もありません。

また、クラウド会計システムは、銀行明細やクレジットカード明細との自動連携など、外部データとの連動にも注力されているものもあり、さまざまな面で業務効率化が期待できます。

これらの会計システムは、会社規模によって料金プランも異なるため、自社に合ったシステムの選定が重要です。

ペーパーレス促進

さらに、経理DXで重要なことはペーパーレス化の促進です。

従来の経理業務では紙の書類を扱うことが多く、契約書や請求書、申請書などの処理のために出社する必要がありました。これは経理担当者だけでなく、会社全体の業務効率を下げる要因となっています。

また、紙の書類はファイリングなどの資料整理に時間がかかり、紛失のリスクもあります。特に、領収書は再発行が難しいケースもあるため、管理にリソースを割く企業も多いと考えられます。

ペーパーレス化により、こうした管理の手間が大幅に削減され、業務の多くをリモート化できるでしょう。

また、書類のデータ化により検索性が向上し、過去の資料も容易に参照可能となります。

経理の業務は、基本的に1か月サイクルや1年サイクルで似たような処理をすることが多く、過去の資料を閲覧することが多々あります。紙で資料を保管していると、資料の検索に余分な時間がかかっているケースもあるでしょう。

システム導入とペーパーレス化を同時に進めることで、上記のような業務が効率化されるため、より効果的なDX化が期待できます。

経理業務以外のシステム検討

効果的なDX推進のためには、経理システムだけでなく、販売管理や営業、給与計算など関連システムとの連携も重要です。

経理担当者は各部署から数字を収集しますが、会計と連動したシステムで、データを仕訳形式で受け取ることができれば、経理担当者はそのまま会計に取り込むだけになります。結果として、大幅な工数削減が可能です。

したがって、できるだけ連携しやすいシステムを探すことも、経理のDX化には重要なポイントとなります。

経理DXの事例紹介その1

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経理DXの推進事例①

実際の経理DX導入事例として、農家や漁業の方が直接食材を出品する「産直ECサイト運営企業」の取り組みをご紹介します。クラウド型会計システムの「freee」を導入したことによる、DXの推進事例です。

会計業務のクラウド化

1台のPCへの入力から複数PC作業へ移行し、削減された時間を有効利用できるように

この企業は、クラウド型会計システム「freee」を導入することで、大きな業務改革を実現しています。

導入前は、1台のパソコンにインストールされたオフラインの会計システムを使用していたため、複数人での同時作業が不可能でした。しかし、「freee」の導入後は、アカウントを持つ社員が各自のパソコンからブラウザでアクセスできるようになり、同時作業による業務効率化を実現しています。

さらに、以前は試算表などの帳票は作業者の処理が完了するまで閲覧できませんでしたが、これらがリアルタイムで確認できるようになったことで、最新の会計状況を早期に把握することが可能になりました。

オンラインバンキングとの連動

従来の会計システムで銀行預金の仕訳をおこなうときは、入出金明細を見て手入力をする作業が必要でした。

しかし「freee」では、オンラインバンキングと連動して、自動的に入出金明細を取得する機能があります。この連動機能により、入出金明細の自動取得が可能となり、預金関係の仕訳処理が大幅に効率化されました。

さらに、定例取引の場合、勘定科目が自動でセットされるため、確認とボタン操作だけで仕訳が完了できるようになり、大幅な時短につながっています。

これらの変革により、経理部門は売上分析などの経営戦略業務により多くの時間を割けるようになり、企業の成長にも寄与しています。また、リモートワークの実現により、従業員の働きがいの向上にもつながっています。

経理DXの事例紹介その2

経理DXの推進事例②

もう一社、医療機器販売企業のDX推進事例を紹介します。ワークフローおよび経費精算に「バクラク」、受発注に「アラジンオフィス」というシステムを導入し、経理とのデータ連動が大きく変わりました。

ワークフローシステムの導入

担当者らが承認のためにたらい回しが無くなり、システムに申請するだけに

稟議から契約締結まで、従来、紙でおこなっていた承認などのフローは、システム導入によってすべてデジタル化できます。

「バクラク」の導入により、請求書や契約書などの経理書類について、稟議・承認・保存といったフローを一元管理することが可能となりました。

これにより、ワークフローのスピードが大幅に向上し、請求書と契約書の紐付け検索も容易になっています。

また、承認印を押すための出社も不要となり、部門長や一般従業員といった階層にかかわらず、働き方改革を推進できているのです。

経費精算システムの導入

経理DXにあたっては、経費精算システムの導入も欠かせません。

従来の経費精算は、紙の申請書に手書きをしたり、エクセルで作成したものに領収書を貼り付けて提出したりする流れが一般的でした。

よりアナログなケースでは、従業員が手書きで申請し、領収書と申請書の金額を付き合わせて電卓で検算し、やっと会計処理に移るといった事例も見受けられます。

こういった業務フローは、目視で起票しなければならないためミスを誘発しやすく、かつ、証憑類の保管の手間や保管場所も必要です。

クラウド連携した経費精算システムを導入することにより、経理担当者のチェックは必要ではあるものの、申請された勘定科目や金額が会計に連動でき、領収書も経費申請のデータと一緒にクラウドで保管されます。

このように、システム導入によって経理の手間を削減し、効率化につなげることができるのです。

「freee」や「マネーフォワード」など、多くのクラウド会計システムにも経費精算機能のオプションがあるので、自社に合ったシステムを検討しましょう。

受発注システムによる経理連携

取引先数が多い企業では、受発注システムを導入することで経理業務を大幅に効率化できます。

受発注に関しては「アラジンオフィス」という受発注管理システムを導入することにより、発注から買掛金管理までが一元でできるようになりました。

ほかにも、ラベル発行により機器をひとつひとつ管理することで、適正な在庫数の管理やハンディターミナルを用いた業務効率化も可能となり、現場の負担減にもつながっています。

経理DXには様々な恩恵があります

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まとめ

経理DXの推進は、企業の業務効率化と競争力強化に不可欠な取り組みです。

その実現には、ペーパーレス化やシステムの導入など、従来の業務プロセスを大きく変革する必要があります。

このような変化に対して、従業員の方々から戸惑いや抵抗の声が上がることも予想されますが、実際にDX推進をおこなった企業では、業務効率の飛躍的な向上や従業員のやりがいアップなど、大きな成果が報告されています。

推進にあたっては、まず会計システムの導入など、経理業務の一部からデジタル化を始め、段階的に範囲を広げていくアプローチが現実的です。

最終的には全社的なDX推進を見据えながら、まずは経理部門からDX化に着手することをお勧めします。

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このコラムの著者 : 舩田 卓

1972年愛媛県生まれのA型。 愛媛県立松山商業高校卒業後、東京IT会計専門学校に進学。 在学中に税理士試験を全国最年少20歳で合格。 そのまま専門学校の専任講師となり、税理士試験の受験指導を担当。 22年間務めた講師の道から飛び出しSMC税理士法人に入社。

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