投稿日:2019年03月10日
更新日:2023年03月17日
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帳簿をつけていると、経費かどうか迷うことがあると思います。
「他の会社の社長は何でも経費にしている」とか「少しくらいプライベートを混ぜても大丈夫だよ」とか、外部からの悪魔のささやきも聞こえてきます。
果たしてどこまで経費として認めてもらえるのでしょう?
そして公私混同によるディメリットもお伝えしていきましょう。
経費と出来るのは
「その経費を事業のために使ったかどうか」
「その事業をしていなかったら使わなかった経費かどうか」
「従業員も同じように使う経費か」
です。
これに当てはめると、「事業のために眼鏡を買わなくてはいけない」という経営者の言葉には、「従業員さんにも買いますか?」「事業をしていなかったら買わなくていい眼鏡ですか?」と伝えられます。
「仕事が忙しくて晩ご飯を作れないから外食した」はどうでしょう?
従業員さんは忙しくても晩ご飯を作っていませんか?ご自分の給料で外食していませんか?
また公私混同してはいけない理由はいくつかあります。
経費を使えば当然キャッシュがなくなります。一生懸命営業し、回収したキャッシュです。使うときは、会社のためになる使い方をしたいものです。
また何でも経費にしていることで、会計処理上、社長個人の支出と判断されることもあります。それにより個人への「貸付金」が増え、銀行融資の障害にもなりかねません。
例えば「携帯電話の支払いの中に子供の携帯代も含まれていた。」というケース。まとめて口座引落さえてしまうので見落としがちですが、この支払いから子供の携帯代を差し引いて処理していただけで、税務調査の印象が良くなりました。きちんと公私を分けている会社と思ったのでしょう。
一方、小さいお子さんがいる社長が子供も連れて海外出張へ行った費用を全額経費にしていれば、当然公私混同とみなされ、他の飲食代も家族で行ったものではないかと疑われました。
社長が高級な車両を次々と買い替えたり、高級料理店で食事をした領収書を経費で処理していれば、従業員が楽しく仕事をするはずがありません。もちろん社長はリスクや悩みを抱えて経営をしているわけですが、相応の役員報酬をいただいていますから、その中でやりくりをすればいいのです。
私が見た素晴らしい経営状態の会社、接待交際費がとても少なかったので経理の方に聞いたら、「社長はおそらくご自分で飲食代を支払っていらっしゃると思いますよ」という答えが返ってきました。
飲食費は全額経費にできる!?損金算入ルールを基本から徹底解説接待交際費や会議費が多い、旅費交通費が多い、保険料や保険積立金が多い、車両費の減価償却費も多い、短期貸付金はふくれあがる・・・。お金の使いっぷりはいいのだけど、この会社、儲かっているのか儲かっていないのか・・・。
当然です、キャッシュを使っているのですから。
そもそも会社は利益を生み、キャッシュを増やさなくては、事業を行っている意味がありません。
もちろん使った経費を活かして、将来の売上や会社のしくみにつなげていくことが理想ですが、経費を使えば大切なキャッシュがなくなる、ということを先ず考えて使いたいものです。
「経費で落ちるから。」
会社のキャッシュがなくなる恐ろしい言葉です。
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このコラムの著者 : 菱刈 満里子
大学卒業後、大手証券会社、文部科学省研究室秘書等を経験後SMC税理士法人に入社。 会計・税務業務に13年間携わった後、経営計画を中心とした未来経営に軸足を移す。 のべ150社以上の経営計画を作成、経営支援を行っている。