投稿日:2020年05月03日
更新日:2023年03月17日
この記事を読むのに必要な時間は約 3 分です。
会社の取引には、さまざまな資金の支払いがあります。
商品の購入代金の支払い、経費の支払い、給与の支払い、税金の支払い等。
その他まだ確定していない取引の支払いもあれば、社員が立て替えて支払ってくれた経費を戻す支払いもあります。
仮払金、前渡金、立替金など、取引の状況によって科目を使い分けて仕訳を行っていますが、今回は「立替金」についてみていきましょう。
まずは、会社が誰かの代わりに払った「立替金」のポイントです。
誰かの代わりに支払っているので、もちろん経費にはなりません。
それよりもお金が出ていったからには、必ず回収することが重要です。
「とりあえず、私がまとめて支払っておくね」
個人的にもこういう場面に遭遇しませんか?
立替えているにもかかわらず、返してもらうのを躊躇することはありませんか?これでは大切なお金がなくなっていきかねません。
会社の大切なお金ですから、きちんと請求しましょう。
売掛金を請求するように、いつまでに入金いただけるのかを確認しましょう。
そして金額が少額でも現金出納帳に必ず記載します。記載することにより「立替金」という勘定科目に金額が残り、忘れてしまうことを防げます。
或いは買掛金など支払うお金と相殺することを提案することも、回収方法の一つです。
取引先だけでなく、立替金が社長や社員への立替の場合も同様です。
立替えたお金を返してもらえなければ、「貸付金」となってしまう場合もあるからです。
社長への貸付金は、金融機関から決算書を見たときの大きなマイナスです。
会社で出た利益・資金を社長へ渡しているわけですから、社長への印象が悪くなるのは当然ですね。
一方、会社のために社長や社員が立て替えて経費を支払うケースもよくあります。
会社から見ると「立替金」ではなく「未払金」の処理になります。
会社のために経費を立替えたとき、社員はきちんと請求することが多いのですが、社長は自分のお金と会社のお金を混同して、つい忘れがちです。
これもお金が無くなっていく大きな原因です。社長も社員と同様、きちんと立替経費を請求しましょう。
また、車の販売や車検の仕事をしている会社でも「立替金」という科目をよく目にします。私たちが車を購入するときや車検に出したとき、法定費用として重量税や自賠責保険料等を支払います。
もっとも私たちはこうした法定費用も車検整備料もまとめて支払うわけですが、整備をした会社はこの入金がされるまで、法定費用を立て替えて支払っています。つまり「立替金」です。
建築業と違って、建物が完成するまでの何百万円、何千万円も立て替えるわけではありませんが、10件の法定費用を立て替えれば数十万円になります。
入金が滞ればこの金額が膨れ上がります。中小企業は紹介やネットワークが重要だからでしょうか、なぜかお金をしつこく請求しません。また飛び込みできた新規のお客様と連絡がとれず、知らないうちに引っ越してしまった、という例もありました。
決算書を拝見して経営者にお聞きするのは、「この立替金って何ですか?いつ回収できますか?」ということであり、この問いに答えられる経営者が少ないのが現状です。
経営者はご自分の試算表にこうした科目がないか、あるのなら内容は何か、そして早急に解消できないのかを知ることです。
立替経費を請求するときに便利な帳簿が「立替経費精算書」です。
立替えた月日、支払先、支払内容、支払金額を記入して、会社に立て替えたお金を請求します。
この帳簿に書くことにより、現金出納帳への細かな記載が不要になります。
特に会社のお金と個人のお金が混同してしまいがちな経営者には、現金出納帳も要らず、経費の計上漏れもなく、立替えたお金がきちんと戻ってくるというこの帳簿は、とても優れものです。
ご自分の財布から経費を支払うことが多く、現金出納帳をつけられない経営者さん、是非一度お使いになってはいかがでしょう?
SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 帳簿・決算書作成 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
このコラムの著者 : 菱刈 満里子
大学卒業後、大手証券会社、文部科学省研究室秘書等を経験後SMC税理士法人に入社。 会計・税務業務に13年間携わった後、経営計画を中心とした未来経営に軸足を移す。 のべ150社以上の経営計画を作成、経営支援を行っている。