投稿日:2018年09月29日
更新日:2023年03月17日
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目次
みなさんの会社は誰が帳簿をつけていらっしゃいますか。
最近はクラウド会計も登場し、預金出納帳をつけなくても通帳から読み取ってくれるようになりました。会計処理も帳簿もどんどん進化していっています。ところが・・・。
一方で納品書や請求書、仕入台帳や売上台帳、給与明細も事務員さんが手書きで書いていらっしゃる会社も多い。
気の毒なのは「振替伝票」まで作っている方もいます。
勘定科目をゴム印で貸方借方に押印しながら取引を書き込んでいく振替伝票は、実は昔の会計事務所のためのもの。
経営にとって必要な帳簿ではなくなっています。
手書きが悪いわけではありません。PCが苦手な方にとっては、かえって楽なツールなのだと思います。重要なのはそこに「無駄な時間」が発生していないかということです。
経理における無駄な時間を考えてみましょう。
たとえば売上を電卓で集計していたり、毎回同じ取引先名を手書きしたり、納品書を集めてPCに入力し直して請求書を作ったり、過去の数字を見たくて倉庫に片付けた書類をひっくり返したり・・・等です。考えただけで無駄な時間ですよね。
先ずはこうした無駄な作業を洗い出してみることです。その中に効率化できるものがないかを抽出してみましょう。
その後は経理改善が得意な人の知恵を借ります。通常は会計事務所です。
早速上記の改善を「エクセルだけ」でしてみましょう。
売上を電卓で集計するのは時間がかかるし、集計ミスもあります。エクセルで売上一覧を作ればカンタンに集計できます。同時に入金管理もできます。
顧客一覧表をエクセルで整えましょう。アイウエオ順にして検索しやすくします。また関数等を使えば、この一覧表から「取引先名だけを別のエクセルシートで利用する」、というようなこともできます。
納品書をエクセルで入力しておけば、後で取引先や日付等を抽出して請求書の金額にまとめることも簡単です。取引先名や商品名を入力しなくても、データから選べるようにすることもできます。
エクセルデータとして保存した数字であれば、倉庫を探さなくてもPCの前で探せます。この場合PCの中のデータを探す時間も無駄ですので、きちんとルール化して探す時間も省きます。
エクセルに慣れていない人は整えるのは難しいかもしれません。エクセルが得意な会計事務所や若い社員に頼ってみましょう。
またコラムの中でお伝えしておりますが、なるべく銀行口座を通すのも有効です。通帳を通すメリットは、手書きの帳簿が要らなくなること、そしてクラウド会計で読み取って貰えることが大きいでしょう。
一気にIT化する必要はありません。無駄な時間を使っている作業から始めてみませんか。
経理担当者が辞めてしまったら・・・皆さんの会社では、給与明細や給与台帳はどのように作成していますか。
市販の給与支払明細書を使っている方、エクセルで作っている方、給与ソフトを使っている方等さまざまですが、どの方法でも同じ計算方法で、給与の支給総額と天引きされる金額、そして手取り金額が表記されています。ここからは誰でもカンタンに出来るエクセルでの給与台帳をご紹介いたしましょう。
会社から支給されるものには、大きく分けて基本給、残業手当、その他の手当があります。
基本給は会社により賃金規定等で定められています。
基本給の他にも、上記山田太朗さんのように、資格手当等が支給される会社もあります。
残業手当も残業時間から算出して支給されます。
社長の感覚で給与を決めている会社は、将来新しい社員が入社したときに、今いる社員とのバランスがおかしくなってしまうことも。
出来れば基本給や資格手当、職務手当等の規定をきちんと整えておくことをお勧めします。
また通勤手当も会社が支給します。
通勤手当は所得税の課税はされませんが、通勤手当の非課税枠を上回る通勤手当は、給与として課税されることもありますので注意が必要です。
給与から天引きされるお金は大きく2つあります。
1つが税金、そしてもう1つが社会保険料です。
所得税は本来自分で納める税金ですが、これを会社が給与から天引きして代わりに税務署に納税してくれます。
上記山田太朗さんの所得税は6,530円ですね。
所得税は今年の税額を概算で計算してありますが、1年の終わりには正確な所得税を計算し、その差額を年末調整にて精算してくれます。
一方、住民税は、昨年の所得に対して計算された税金です。
住民税が確定するのは5月頃ですので、6月から1年間、月割りにして納めます。
こちらも本来自分で納めるものですが、勤めている会社が給与から天引きして、代わりに自治体に納めてくれます。
山田太朗さんの住民税は2,500円です。
いずれも社会保険料です。
健康保険は病院にかかった際に医療費の負担を減らす保険、介護保険は将来介護が必要なとき、介護サービスを受けられる保険、厚生年金は将来年金を受け取るための保険、雇用保険は失業時の就職活動支援のための保険、というように、社会保障制度によって国民の生活を守るための保険料なのです。
もちろんこの社会保険料を支払わなければ、上記の保険金等は受け取ることができません。
こちらも会社が手続きをして天引きをし、代わりに納めてくれています。
こうして給与計算したものを、一人ひとりに給与明細としてお渡ししますが、会社としては下記のように全社員の給与を集計した一覧表があると非常に便利です。
このエクセルは個人の給与明細と連動していますので、新たに計算したり書き写したりする必要はありません。
みなさんのパソコンの中には、エクセルやワードで作成した多くのファイルがあると思います。そのファイル、いつ作成したものですか? 欲しいファイルは直ぐに取り出せますか? 特定の人のPCのデスクトップにありませんか? 最新のファイルはどれですか?
そんなお悩みを解決できるかもしれません。
仕事をしていると、日々多くの資料を作ります。それを避けることはできません。
先ずは全社で使用する資料、閲覧する資料を棚卸ししてみましょう。
家で言えば断捨離です。あまり使っていない資料は、一旦思い切って捨ててみることです。
例)FAX用紙、顧客名簿、会議資料、経費精算書、営業ヒアリングシート、就業規則、契約書等
家の中でも置き場所を作りますよね? 書類も所定の場所を作ってあげるようにします。
例)大分類:営業、顧客情報、総務、経理、会議
中分類:(大分類:会議)社内会議、外部会議
小分類:(大分類:会議、中分類:社内会議)営業会議、全体報告会
全社で見ることができるように、社内ネットワークで共有のフォルダを作成しましょう。最近ではクラウドを利用して、外からでも社内資料を閲覧することができるような企業も増えています。
また「共有」を設定してエクセルに同時にデータを入れたり、スプレッドシートを利用して進捗管理等を同時に行ったりもできます。ここは専門家の知恵を借りて、自社に適したシステムにしましょう。
せっかく作った書類も、知らない間に書き換えられていたり、なくなったり、新たな書類が追加されたりするケースも多いでしょう。これでは以前と同じように書類が煩雑になっていってしまいます。わが社もここが一番大変でした。新しい書類を追加するとき、書類を変更するとき、書類を削除するときのルールを定め、一定の人しか触れないようにすることで解決できました。
誰でも触れるようだと、やはりまた最新の正しい書類かどうかが分からなくなってしまいます。書類管理の責任者を決めることです。責任者が作成、承認するのではなく、登録の管理だけです。
各自が作成した書類を、経営責任者等が承認し、書類管理者が登録する、というルールにします。
上記のように整えても、うまくいくとは限りません。半年に一度、定期的に書類を見直すようにします。できれば外部のチェックを入れられるといいでしょう。自社ではどうしても甘くなりがちです。
いかがでしたか。面倒に思われた経営者の方、あなたの会社はずっと書類を探し続けることになるでしょう。
今のままでよいか、探す時間を削減できるよう書類を整えるか。いずれも経営責任者の経営判断にかかっていますよ?
SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 帳簿・決算書作成 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
このコラムの著者 : 菱刈 満里子
大学卒業後、大手証券会社、文部科学省研究室秘書等を経験後SMC税理士法人に入社。 会計・税務業務に13年間携わった後、経営計画を中心とした未来経営に軸足を移す。 のべ150社以上の経営計画を作成、経営支援を行っている。