投稿日:2018年11月03日
更新日:2021年05月01日
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前回は第二の収入として負債の増加についてお話をしました。
今回は第三の収入として資産の減少についてお話をしていきましょう。
「資産の減少が収入なの?」と思われるかもしれませんが、資産の売却を想像すれば理解できると思います。例えば、不要な土地を売却して資金が増えれば、それは収入としての資金増加になります。
ところでなぜ資産を購入するのでしょうか?資産は調達した資金を運用しているものです。
貸借対照表の右(負債と純資産)は資金の調達を、左は調達した資金の運用を表しています。資産は調達した資金を運用しているのですから、運用によって収益向上や経費節減ができなければ意味がありません。そんな資産であれば、売却して資金化すべきです。
ではどのような運用方法があるのかを見ていきましょう。
まずは売掛金です。会社は「売掛金」という資産で運用しているのです。
経済取引の原則は、物品やサービスの提供と引き換えに現金を回収します。ところがビジネスにおいては、取引の都度、現金のやり取りをするのは非効率なので、一定期間の取引の後に決済するという信用制度が、商慣習上あります。
例えば、商品を提供したにもかかわらず回収は1か月後にする、というような場合です。商品を提供してから資金回収をするまでの債権を売掛金と言います。売掛金の回収期間が長くなるほど売掛金の金額が大きくなって、資金化するのに時間がかかることになります。
逆に売掛金の回収期間を短くして売掛金の金額を少なくすれば、資金は増えることになります。従って、売掛金の回収サイトは短ければ短いほど資金繰りは良くなります。
売掛金の回収サイトを短くすることは、既存の取引先にはとても難しいです。そこで、新たな取引先の回収サイトを縮めるのが第一優先です。
また既存の取引先にも根気よく何度も何度も交渉していると、回収サイトが徐々に短くすることができます。ただし、どこにでもあるような商品を扱っているような場合は、回収サイトを縮める交渉をしているうちに取引を打ち切られる可能性もあるので要注意です。やはり差別化された商品やサービスを提供している会社は、こちらの主張を強く伝えて回収サイトを縮めることができる可能性も高くなります。
究極の回収サイトは、商品を提供する前に資金をいただく前受金です。自動車学校やエステなどは、こうした前受金を先に頂くシステムのところが多いですね。
売掛金と同じ売上債権には、受取手形があります。売掛金の回収を現金ではなく手形債権、つまり手形で回収することによって発生します。一定期間後に現金預金で回収することを約束する債権です。期間は30日位の短い手形から120日や140日というような長いものもあります。売掛金と同様に、受取手形の回収期日が長くなるほど、資金化するのに時間がかかり資金が減少することになります。
逆に受取手形の回収期間を短くすれば受取手形の残高が少なくなり、資金が増えることになります。受取手形の回収期間が長くなったことで資金が少なくなると、受取手形を期日前に銀行で割り引いて金利を支払って資金化することになりかねません。
売掛金・受取手形の回収サイトが短ければ資金が豊かになります。取引を開始したい、売上を上げたいからといって、売掛金や受取手形の回収条件を長くしないことです。
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このコラムの著者 : 舩田 卓
1972年愛媛県生まれのA型。 愛媛県立松山商業高校卒業後、東京IT会計専門学校に進学。 在学中に税理士試験を全国最年少20歳で合格。 そのまま専門学校の専任講師となり、税理士試験の受験指導を担当。 22年間務めた講師の道から飛び出しSMC税理士法人に入社。