投稿日:2018年08月10日
更新日:2023年03月16日
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「資金繰り」という言葉を聞いてどう感じますか?
「難しそう」「取っ付きにくい」「楽しそう」「興味津々」などなど、色々な感じ方があると思います。
しかしどんな感じ方をしようとも、会社経営において資金繰りほど大事な事項はありません。
私は会計業界に長く身を置いていますが、会社経営はお金がすべてだと言っても過言ではありません。
どんな高尚な経営理念を掲げようとも、どんな高い目標を設定したとしても、お金がなければ何も実現できません。
お金がなければ仕入もできませんし、人を採用することもできません。
様々な経費を使うことも設備投資も借入返済も何もできないのです。
更には自分の役員報酬すらもらえず、ただ働きになってしまうこともあるのです。
聞こえは良くありませんが、会社経営は「お金」がすべてなのです。
「お金がすべて」という言葉を日本人はとても嫌いますが、「経営 イコール お金の遣り繰り」すなわち「資金繰り」と言っても過言ではありません。
資金繰りに失敗すると企業は倒産してしまうのです。
目次
資金繰りとは、会社の支出と収入の状況を確認し、お金が無くなってしまわないように管理していくことをいいます。
資金は簡単にいうとお金、つまり現金ですが、すぐに引き出せる当座預金や普通預金もこの資金に入ります。反対に、すぐにお金を引き出すことのできない定期預金や売上代金の未回収を示す売掛金、返済を待っている貸付金など、お金に代わるまでに時間のかかるものは資金とは言いません。
資金は会社にとって血液のようなものです。人間は血液の流れが止まってしまうと生きていくことができないように、会社も資金の流れが止まってしまっては倒産してしまうことになります。
つまり、会社が存続し続けるためには、資金繰りにより現金収支のバランスが重要なのです。
「決算ではそこそこ利益が出ているのに、なぜか手元にお金がない。資金がショートしてしまう。どうしてだろう?」
「経費を削る努力をしているのにお金が無い・・・なんでだろう?」
そんな話をよく経営者の方からお聞きします。これこそ「資金繰り」のキホンがわかっていないときに出る言葉です。
会社は利益を上げる活動、つまり営利活動を行っていますが、収益・費用の計上と資金の入金・出金のタイミングは必ずしも一致しているとはいえません。
例えば、現金で1,000円で買った商品を、1,200円で「掛け」で販売したとします。
利益は
売上高1,200円 - 売上原価1,000円 = 売上総利益 200円
ですね?
ところが現金の収支は、掛け売上のため売上時には収入がまったく無く、商品仕入により手元の現金が1,000円減ってしまっている状態です。
利益は200円出ているのに、すでに資金が1,000円マイナスです。
これを回避するためには、売掛金1,200円の早期回収を行ったり、商品仕入のための借入をしたりすることにより、「資金繰り」は改善されます。
ホントに怖いのは黒字倒産です。利益は上がっているのに「資金繰り」がうまくいかず、倒産してしまった企業は数多くあります。
実際に2018年に倒産・廃業した会社の中で、黒字にも関わらす倒産・廃業した企業は、なんと47.7%も占めています。つまり、倒産・廃業した企業の約半分が、黒字で会社が消滅しているのです。倒産の理由には、後継者がいないなどもありますが、一番は「資金繰り」が悪くなってお金がなくなったことです。
会社経営は「資金繰りがすべて」、経営者は手元資金がなくならないように経営をしていかなければなりません。しかし経営をしていく中では、資金繰りが苦しくなることもあります。
次は苦しくなった資金繰りを良くする方法をお伝えしていきます。
「月末・決算が近くなって、そこそこ利益が出る予定なのに、なぜか手元にお金がない!資金がショートしてしまう。なんで?」
「経費を削る努力をしているのにお金が無い・・・なんでだろう?」
そんな話をよく経営者の方からお聞きします。
これは、売上が上がれば、又は利益が出ていれば手元に資金があると勘違いをしているからです。つまり、「利益」=「資金」の考えが会社を資金不足にしている原因なのです。
会社は利益を上げる活動、つまり営利活動を行っていますが、収益・費用の計上と資金の入金・出金のタイミングは必ずしも一致しておりません。つまり、会社の活動に欠かせない資金は、会社の営利活動とは違う動きをすることがありますので、会社の活動を人と例えると、資金は人の考えどおりに動かない別の生き物と捉えたほうが良いでしょう。
資金という生き物の習性行動は至って簡単ですが、その習性をしっかりと掴まないといつまでたっても資金繰りが改善されず、手元にお金が残りません。
例えば、商品を現金1,000円で買って、これを1,200円で掛け売上します。利益は200円ですが、この販売の段階で資金はマイナス1,000円です。資金が1,000円無くなっているのに売上1,200円の収入がまだないのです。
代金の回収が後になればなるほど資金不足が生じて、利益が出ているのに会社が潰れてしまう「黒字倒産」の危険性も出てきます。
以上を踏まえた上でお金を残す3つの方法をご紹介します。
商売の鉄則です。会社に資金を入れるのは本業の成果である売上と利益です。
社会のニーズに合わせた商品を販売していくことが必要となります。
利益は粗利の設定はもちろんのこと、限界利益を引き上げることも大切です。
粗利の設定は業種や業態によって異なります。
平均的な原価率は小売業62%、卸売業80%、製造業は64%~88%とさまざまです。飲食業であれば一般に原価率は30%以内に抑えないと厳しいといわれます。
限界利益とは、売上高から変動費(売上原価や外注費など)を控除したものです。
この限界利益の段階で、赤字になってしまっては事業の継続は困難になります。
この限界利益を引き上げるためには、限界利益の高い新商品の開発、仕入先との交渉や仕入先の変更による商品原価の引き下げ、外注先の変更による外注費の引下げなどが必要です。
支出の伴う原価や費用を無視した売上は、資金不足を招くことになります。
最大の利益を生み出すことがキャッシュを増やし資金繰りを改善します。
ボールペンやクリアファイル、コピー用紙などの事務用品は安価でしかも短期間で使い切ってしまいます。
これら消耗品がなくなりやすいからといって必要以上の量を購入することは支出が膨らみます。
また、購入先により購入金額が変わることもありますので、注意が必要です。
また、売上の成果が出ない広告宣伝に費やすのも無駄な支出になります。
広告宣伝費は必ず効果を測定しなければなりません。
例えば、新聞の折込チラシで宣伝を行った場合には必ず、何枚のチラシを配って、何人が来店したかなどを調べて折込チラシの効果を調べることで、売上に繋がるかがわかります。
広告宣伝費は効果を測定することで無駄な支出を抑えることができます。
また、過剰に従業員を雇用し人件費がかさむ状態もなくさなくてはいけません。先ずは適正な人件費を知ることです。
一般的に適正な人件費かどうか判断に用いられるのが労働分配率です。
労働分配率とは、給料や賞与、福利厚生費などの人件費が付加価値(一般的には売上総利益)に占める割合をいい、業種によりますが、40~60%が適正だと言われます。
過剰な状態だからといって従業員の給料をいきなり下げたり解雇をすることはなかなかできません。
もし労働分配率が高い場合には、新たな商品を開発し販売するなど付加価値を高めることが労働分配率を下げる一番の解決策です。
経営者は、無駄な経費であるか、人件費に見合う売上げを上げ付加価値を生み出しているかを常に確認をし、出費を抑えていくこに努めなければなりません。販売費一般管理費に係る支出を抑えルことができれば資金繰りを改善することができます。
商品、材料、製品などの棚卸資産の在庫を減らすだけで資金繰りは改善できます。
商品も製品も販売見込み数量を決定し、それに応じた商品の購入や製品の製造をしていくこととなりますが、実際の販売数量の把握に伴って購入数量を調整していく必要があります。
やみくもに商品を購入したり、製品を製造するのは、不良在庫を生み出す原因となります。
また、材料も適正な製品の製造量が決まれば無駄な購入を抑えることができます。
これら棚卸資産の購入金額は「単価×数量」で求められます。
商品を売るためには、ある程度在庫を持つ必要があります。
そのため、一定の数量を定期的に購入し在庫を確保しなければなりません。
その在庫が適正であるかがポイントです。支出を伴う商品の購入の適正発注を行うことが無駄な支出を抑えることに繋がります。
また、仕入先の検討も定期的に行うことも必要でしょう。
昔馴染みの仕入先からしか購入したことがなく、他の仕入先からの購入単価を知らないということは中小企業では良く聞く話です。
仕入単価を改善することで支出は抑えられ、その結果資金繰りは改善されます。
資金繰りを改善する方法は「早く入れて、遅く出す」が基本です。
この基本をクリアできるように努めるだけで、手元に残る資金はまったく変わってきます。
そして、その資金を使って新たな投資に充てることで会社が発展していきます。「多く入れて、少なく出す」ことも大切ですが、並行して「早く入れて、遅く出す」ということをすることが資金を飼い慣らす方法です。
冒頭でも述べましたが資金は生き物です。この生き物を会社の中で育てることが会社の存続・発展に繋がります。出ていく前に入ってくるように工夫すればよいのです。そのためには、お金の流れを管理することです。うまく会社の中に残るようにして飼い慣らしましょう。
そして月末・決算時には売上・利益・資金が潤沢にある会社を目指しましょう。
大きな状況変化が起きた時の対策、コロナや経営状況悪化会社経営において最も大切なのはキャッシュ(お金)です。売上が激減しても赤字決算が続いても会社は決して潰れません。いつ潰れるのでしょう。それは、キャッシュが無くなった時です。
キャッシュがあれば会社は潰れませんし継続し成長していくのです。
このキャッシュを増やす手段で、最も優れた方法は利益を出すことです。
このため、企業は、利益を出すことにこだわり、利益を出すことを追求し続けるのです。
しかし、利益を出し続けることは難しく、キャッシュが減り資金繰りが悪化する場合もあります。
また、「これ以上銀行から借入ができない。」「借入の元金返済額が多すぎてキャッシュの流出が大きい。」などが重なると、さらにキャッシュが厳しくなり、倒産への一歩が始まるかもしれません。
では、どうすれば良いのでしょう。
財務の観点から見た方法3つと、その具体的な方法を3つをご紹介します。
負債とは、債務です。マイナスの財産を指します。たとえば以下のようなことを指します。
などです。
今は払わなくてもいいけれども、将来には支払わなければいけないものを指します。
これらは一見してキャッシュが出ていってしまうと思われがちな行動ですが、実はキャッシュを増加させています。
負債を増加させてキャッシュを増やす行動として一番わかりやすいものは、「銀行から融資を受けた場合」ではないでしょうか。
この行動は、キャッシュに直結しています。お金が足りなくてどうしようもない時は、銀行からお金を借りませんか?借りた金額を将来にわたって返済する義務が発生しますが、足りないお金を埋めることができます。
わかりづらいものとしては、「モノやサービスを受けたが代金が未払の状態の場合」や「リース契約を締結した場合」、「法人が支払うべき代金を役員が立替えた場合」などです。
これらも、キャッシュを増加させています。
いつのキャッシュを増加させているか、これがポイントです。
代金が未払の場合とはどのような状態でしょうか?リースを契約したら、どうなりますか?役員が支払いを立替えたら?・・・
これらは、現在のキャッシュを増加させているのです。
本来は現金で支払って得られるものですが、支払っていないのに使うことができるのです。
たとえば、通帳に30万円の残高があり、25万円の商品を仕入れたとしましょう。
この場合、現金で支払った場合、通帳の残高は5万円です。
しかし、掛けの場合の通帳残高は30万円です。掛けで仕入れたことによって、25万円分、現在使用できるキャッシュが増加したのです。
リースや役員が代金立替を行った場合も同じ考え方です。結果として、現在のキャッシュが増加しているのです。
ただし、負債の増加によるキャッシュの増加は、不健全な状態です。特に、支払手形の発行は絶対にやめましょう。
とても危険です。
負債を増加させることが必ずしも悪いことではありません。必要に応じて、節度を持って、計画的に増減させることを心掛けましょう。
資本金と聞いて何を思い浮かべますか?
おそらく、開業するときに支払った現金、ビジネス開始のための元入金、元手金ではないかと思います。
その通りです。資本金とは、出資者(オーナー)から受けた出資の金額を指します。
つまり資本金を増加させるという事は、出資を受けることを指します。
株主を通して出資を受け、キャッシュを増加させる。これが、資本金を増加させる方法です。
この方法は簡単にキャッシュを増やすことができますが、限定されます。
上場会社であれば一般公募ができますが、中小規模の会社の場合は一般公募ができません。
その場合の資本金の増加は、出資者を探す必要があります。
繰り返し気軽に利用できる方法ではないことを覚えておきましょう。
また、財務会計の概念フレームワークでは「株主資本とは、純資産のうち報告主体の所有者である株主(連結財務諸表の場合には親会社株主)に帰属する部分をいう。」と定義されています。
株主資本とは、資本金を含めた言葉です。
資本金の金額は、最終的に株主に帰属することを忘れないでおきましょう。
前回の冒頭に、売上をあげるだけではキャッシュを増やすことはできないことをお話ししました。
その理由はここにあります。
売上をあげるのではなく、利益を生み出す必要があるのです。
もし、売上をあげた時にキャッシュが増えるとしたならば、売上が少ない小さな会社は、キャッシュが増えないことになります。
大きな会社はそれだけ売上が出ますので、キャッシュが増えることになります。
その原理が成り立つのならば、大きな会社は常に安定し、キャッシュに一切困らなくなります。
実際はどうでしょうか。
キャッシュに困っている大きな会社はたくさんあり、逆に規模が小さくても、キャッシュは問題ない会社も存在します。
これは、その会社の利益が関係しているからです。
利益は、当期の収益が費用を超えた時に、その超えた分が利益になります。
費用とは、収益に連動する費用だけを指していません。
会社を運営する上での、すべての費用を指します。
会社の備品、会社で購入している雑誌、振込手数料など、すべてです。
たとえば、そのすべての費用が収益を超えた場合、その年の業績は損失です。
キャッシュがそのマイナスの金額分、減少します。
利益が出たならば、その金額分キャッシュが増えることになります。
利益は、決算書の損益計算書に載っている「当期純利益」を見ることで分かります。
経営者であれば、最終利益である当期純利益はご覧になってはいらっしゃいますよね。
会社の利益がどれだけ生み出されているか、数値で知ることができます。
売上をあげるだけでなく、費用を最小限にすることを心掛けましょう。
そうすることでキャッシュは増加していきます。シンプルですが、この方法が会社を健全にする最善の近道です。
借入等によるものではなく会社の資金を健全に調達するには、本業の成果である売上と利益を増やしていくことです。
特に粗利を引き上げることが大切です。粗利とは、売上高から変動費を差し引いた限界利益を指します。変動費とは、小売・卸業であれば売上原価が、製造業や建設業であれば材料費や外注費などがこれに当たります。
この限界利益を引き上げるためには、限界利益の高い新商品の開発、仕入先との交渉や仕入先の変更による商品原価の引き下げ、外注先の変更による外注費の引下げなどの努力が必要です。
安いものしか売れないという価格競争に巻き込まれたときには、なかなか利益を確保することができません。支出の伴う原価や費用を無視した売上は、かえって資金不足を招くことになります。最大の利益を生み出すことが、キャッシュを増やし「資金繰り」を改善します。
年間2億円の売上があったとします。
商品別に売上を区分すると、下記のような構成になりました
A商品 売上1億2000万円 原価8000万円 粗利4000万円(粗利率33.3%)
B商品 売上6000万円 原価3600万円 粗利2400万円(粗利率40%)
C商品 売上2000万円 原価 800万円 粗利 1200万円(粗利率60%)
A商品は、当社の主力商品で年間売上の60%を締めます。
C商品は、売上は少ないですが、最も原価の低い商品です。
キャッシュを増やすためにはどの商品に力を入れますか?
現状のままで十分に利益が出ており、キャッシュも十分であればこのまま事業を拡大すれば良いのですが、現状のままでは、利益が出にくくキャッシュが厳しいということであれば、思い切って粗利の低いA商品を捨て、粗利の高いC商品の売上を伸ばすことに力を入れるべきです。
主力商品をすて、売上を拡大できるか分からない商品にシフトすることは怖い事ですが、売上の規模より粗利率にこだわった経営は大変重要です。
A商品 売上6000万円 原価4000万円 粗利2000万円(粗利率33.3%)
B商品 売上4000万円 原価2400万円 粗利1600万円(粗利率40%)
C商品 売上1億円 原価 4000万円 粗利 6000万円(粗利率60%)
如何ですか。商品の売上構成を変え、粗利の高い商品にシフトすれば、粗利が2000万円増えました。
言い換えるとキャッシュが2000万円増えたわけです。
商売においては、売上代金の回収ができて取引が完了となります。売上代金の回収前に経費等の支払いがあれば、会社の資金は減少します。そのため、売上代金の回収が遅くなるほど「資金繰り」は悪化してしまいます。
これを防ぐためには、やはり得意先に売掛金の回収サイトを短くしてもらえるように交渉を続けることが大切です。
例えば、既存のお客様には新しい商品を発売する際に売掛金の回収サイトを短くしてもらう、新規のお客様に対しては商談の際に短い回収サイトとする等、取引条件を交渉しましょう。
年間の売上が1億2千万円あり、決算期末の売掛金が3000万円あったとします。
年間売上1億2000万を365日で割ると1日売上が計算できます。
(1億2000万÷365日≒328000円)
期末の売掛金3000万を1日売上328000円で割ると売掛金の回収サイトが計算できます。
3000万÷328000円≒91日
売掛金を回収するのに91日(3ヶ月)もかかっていることが分かります。
これだけ回収サイトが長いと、いくら売上をあげてもキャッシュは少なく資金繰りは苦しいままです。
そこで、売上は同じで売掛金の回収を20日間短くしてみます。
すると、1日売上328000円×20日=656万円もキャッシュが増える計算になります。
如何ですが、少しでも早く売掛金を回収する。これにより、キャッシュは一気に増え資金繰りが楽になります。
商品を売るためには、ある程度在庫を持つ必要があります。しかし、余剰在庫となったときは「資金繰り」が悪化してしまいます。
ロット数が多いほうが安いからといって単価ばかりを気にする経営者がいますが、売れなければ意味がありません。そうならないためにも、在庫管理の徹底をおすすめします。
在庫は現金が商品に変換されたものであり、在庫が売れずに残っている状態は、キャッシュが使えない状態で眠っているのと同じ状態です。
商品、材料、製品などの棚卸資産の在庫を減らすことで「資金繰り」を改善することが可能です。また販売見込み数量を検討することも在庫管理につながります。実際の販売数量の把握し購入数量を調整すれば、やみくもに商品の購入をしたり、製品の製造をしたりするようなことはなくなります。
また、商品や材料の購入単価を下げることも検討が必要です。
昔馴染みの仕入先からしか商品や材料を購入したことがなく、他の会社からいくらで仕入れられるか検討をしたことがない中小企業の経営者は少なからずいます。一度も見直しをされていないのであれば、他の会社に見積もりをとったり、インターネットで購入価格を検索したりして、購入単価を調べてみましょう。これにより価格の交渉を行うか、仕入先を変えるだけでも単価は下げることができます。
商品は在庫管理をしっかりすることで「資金繰り」の改善が可能です。
在庫量をチェックする指標の一つに在庫回転率があります。
在庫回転率とは、在庫が一定期間に何回入れ替わったか(回転したか)を表す指標で、数字が大きいほど在庫が早く入れ替わっており、商品が効率よく売れて在庫量が少ないことを示します。
在庫回転率[回] = 一定期間の売上原価合計[円] ÷ 一定期間の平均の在庫額合計[円]
売上が1億2000万円で在庫が2000万円ある場合在庫回転数は、売上 1億2000万円÷在庫2000万=6回転となり、2ヶ月間も商品が在庫として眠っていることを意味します。(12ヶ月÷6回転=2ヶ月)
この在庫を1.5ヶ月=8回転に改善すると、1億2000万円÷8回転=1500万円になり、
キャッシュは500万円増えます。
在庫の回転数を上げると、在庫が減り、キャッシュは増え資金繰りは改善されます。
如何でしょうか。売上を上げ利益を出すことだけが、キャッシュを増やす方法ではありません。
私は35年以上の会計業界の経験の中で、赤字で倒産した企業を今までに見たことがありません。
何年赤字が続こうとも赤字では倒産しません。
意外に思われるかもしれませんが真実なのです。
また主要取引先が倒産して連鎖倒産した企業も見たことがありません。
売上が激減して倒産した企業も見たことがありません。
それでは企業はどのような原因で倒産するのでしょうか。
企業が倒産・廃業に追い込まれる理由は、唯一「お金が無くなる」からです。
お金つまり資金が無くなると、企業は倒産あるいは廃業せざるを得なくなるのです。
企業でお金が無くなるということは、人間で言えば、「心臓が止まる」「体を流れる血液がなくなる」に等しいのです。
裏を返せば、お金さえあれば企業はいつまでも生き続けることが出来るのです。
日本には1000年企業が十数社、100年企業が2万社以上も存在します。
これらの企業は1000年以上、100年以上存在続けているということは、お金を常に潤沢に持っていたからです。
経営者は「お金が無くならないようにすること」、そして「もっと積極的にお金を増やすこと」を、最大の経営課題にしなければならないのです。
粗利の高い商品にシフトする
売掛金の回収サイトを短くする
在庫を減らす
これらを参考に、キャッシュを増やし、長く続く強い会社になって下さい。
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このコラムの著者 : 曽根 康正
SMCグループ顧問、1959年(昭和34年6月8日)に岐阜県多治見市で生まれる。 「社外重役の立場から専門能力を発揮し中小企業を支援する」 というグループ経営目標のもと、東海エリアにおいてNo.1の会計事務所を目指す。