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資金繰り改善の基礎知識「収益と費用」と「収入と支出」の違い

資金繰り改善の基礎知識「収益と費用」と「収入と支出」の違い

投稿日:2018年09月01日

更新日:2023年01月06日

経営者が知っておくべき「利益とキャッシュの最大化」セミナー

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

何故、売上を増やさなければならないのか?
何故、経費を節約しなければならないのか?

「利益を出すため」と言われるかもしれませんが違います。答えは「お金を増やすため」です。
利益を出す理由は、お金すなわちキャッシュを増やすためなのです。

「何故、赤字で損失がだめなのか?」
赤字になるとお金が減少していくからなのです。

「何故、黒字で利益を出さなければならないのか?」
それはお金を増やすためなのです。

「資金繰り」についてネットで調べてみると、「資金繰りとは、経費などの支払いに対応できるよう 会社に入ってくるお金と出ていくお金の管理を行い、資金の流れをコントロールしていくことを指します。」

或いは、
「一定期間について、資金の収入と支出とを対照させ、過不足を調整すること。通俗的には金繰りともいう。」

等が出てきました。

「資金繰り」とは「収入」と「支出」のバランスを取りながら、お金すなわちキャッシュの残高を管理することなのです。

どんなに収入が少なかろうが、または支出が多かろうが、キャッシュの残高が潤沢にあれば、現実的には資金繰りをしなくても良いのです。
実際に余剰資金が10億も20億もあって資金繰りをやっていない企業を、私は何社も見てきました。
一方で、キャッシュが少なく、日々資金繰りに追われている企業も多くあります。

つまり、「資金繰り」とは如何に多くのキャッシュを増やして、お金の遣り繰りをしなくても良いようにするかです。

「資金繰り」をしなくても良いようにするためには、お金つまりキャッシュを増やすことが先決です。
お金を増やすためには、当然のことですが「収入 ― 支出」がプラスであることが必要です。

この算式で1円でもプラスである限り、お金は増え続けていきます。
マイナスであればお金が減って行きます。
プラスにするためには、「収入を増やす」か「支出を減らす」の二つの方法しかありません。

また「収益と費用」は「収入と支出」と似ているようで違いがあります。

「収益と費用」は損益計算書的発想で理解できますが、「収入と支出」は損益計算書的発想に加え、更に貸借対照表的発想が必要になるのです。

収益と収入の違い

まず、収益と収入の違いについて見ていきたいと思います。
収益の代表格は売上です。しかし、売上自体は収益なのですが収入ではないのです。
収入となるためには、売掛金や受取手形などが回収されて現金化される必要があります。

ただ、これは単なる時間的なズレだけにすぎません。ところが収益ではないけれど収入になるものがあります。
代表格が借入です。
借入金は負債、つまり借金なのです。借金をすれば当然お金が入ってくるので収入なのです。

更に、資産を売却してもお金が入ってきますので収入です。
車を売る、ゴルフ会員権を売るなども収入です。
また貸付金の回収も収入です。さて収入の正体が大体わかってきました。

収入はザックリ言って、下記の算式にまとめることが出来ます。

収入 = 収益 + 負債の増加 + 資産の減少(売却・回収)

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収入を増やす方法

①収益の増加

どんな企業でも収益で一番大きなものは売上です。
売上は大きければ大きいほど良いというものではありませんが、売上増加で重要なことは、一に利益額を極大化すること、二に受取手形や売掛金の回収を早くして資金を増やすこと、です。

この他にも受取利息・配当金や受取家賃、助成金や補助金なども収益になります。

②負債の増加

負債の増加は収入を増やしますが、収益のように単に増やせば良いというものではなく、バランスを考える必要があります。
例えば、借入金は必ず返済が伴いますので、自社の実力に合った返済余力を考えて借入をしなければいけません。
特に借入をするときに気をつけることは、金利の高い低いより返済期間が長いか短いかの方が重要です。

当然、借入金は返済期間を長くします。
また仕入に関しても、前払いや現金払いよりも、仕入れてから一定期間後に支払う買掛金や未払金、未払費用を利用します。
この支払いサイトが長ければ長いほどお金が増えます。

これらの負債は、お金を増やすというより、お金を減らすことを遅らせる効果を持っています。

③資産の減少

受取手形の減少、売掛金の減少、貸付金の減少などは資産の減少ですが、これらの資産が減少することを回収すると言います。
回収したわけですから、お金は当然増えることになります。
受取手形や売掛金の回収サイトを短くすればするほど、お金は増えることになります。

また、土地・建物、車両・ゴルフ会員権などのうち、不要なものがあれば売却し資金化してお金を増やすべきです。

収入を増やす方法まとめ

以上の通り、

  1. 収益は利益を極大化する
  2. 負債は資金流出を遅らせるために支払いサイトを長くする、返済期間を長くする
  3. 資産のうち、不要な資産は売却する、売上債権の回収を早めるために回収サイトは短くする

ことがお金を増やす方法です。

なお、普段意識することはありませんが、出資(資本金)を増やすと収入になります。
中小企業の場合、会社設立や事業開始時以外に発生することは殆どないので割愛いたします。

経理業務をテレワーク化できる?導入方法や具体的なポイントを詳しく解説!

費用と支出の違い

費用は人件費、外注費、売上原価(仕入)、旅費交通費などです。
費用は発生した時に経費処理するので、必ずしも現金支出が伴っているわけではありません。
しかし、これも単なる時間的なズレだけにすぎません。

しかし費用ではないけれど支出になるものがあります。
代表格が設備投資です。
建物を建てた、機械を買った、車を買ったなどです。

これらは資産であって費用ではありませんが、お金は出ていくので支出なのです。
ただし設備投資等の支出は、減価償却という手続きを経て「減価償却費」として費用化されていきます。

また、借入金の返済も支出です。
借入金だけはなく、他の負債も返済すれば必ずお金が出ていくので支出なのです。
さて、これらを見てくると支出の正体も大体わかってきました。

支出はザックリ言って、下記の算式にまとめることが出来ます。

支出 = 費用 + 資産の増加 + 負債の減少

支出の減らし方

①費用の減少

費用は少なければ少ないほど資金の流出を減らしますので、抑える必要があります。
仕入であれば安い方が良いですし、交際費や消耗品費などの経費も、少ない方がお金は増えます。
しかし経費の中には収益を上げるための戦略的経費があって、これを抑えてしまうと将来の収益を生まなくなってしまうことがあります。

私の考える戦略的経費とは、人件費・広告宣伝費・研究開発費・研修費などです。
これらの経費を節約すると、将来の収益の獲得チャンスを失い、逆にお金を減らしてしまうことになってしまうことにもなりかねません。

②資産の増加

受取手形や売掛金等の増加は資産の増加です。
回収サイトが長くなればなるほど、資産が増加してお金が増えなくなります。
また設備投資も資産の増加で、設備投資をすれば当然お金は減少します。

しかし、設備投資をしなければ、将来の収益を増やすことが出来ません。
したがって将来の収益を増やすような設備投資は積極的に行い、将来の収益増につながらないような資産の購入は避けるべきです。
特に、高級乗用車の購入やリゾート会員権の購入などは絶対に止めるべきです。

③負債の減少

買掛金や未払金の減少は負債の減少です。
支払いサイトを短くすれば負債は減少しますが、同時にお金も減少してしまいます。
借入金の返済も負債の減少ですが、返済金額が大きければ大きいほどお金が減少します。

返済金額を少なくするためには、借入金の返済期間を長くすることです。

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支出を減らす方法まとめ

以上の通り、お金を増減させる収入・支出と言っても、実に様々な要因があります。
したがってお金に関してどんぶり勘定ではなく、自社のお金の状況を科学的に分析しなければなりません。

お金が足りない場合、収益を増やすべきか、資産を売却すべきか、負債を増やすべきか、費用を減らすべきか、設備投資を抑えるべきか、負債の返済を減らすべきかなど、バランスを取りながら管理していく必要があります。

収入を最大にし、支出を最小にすることを、経営の最重要課題として取り組んでいきましょう。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 経営改善 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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このコラムの著者 : 曽根 康正

SMCグループ顧問、1959年(昭和34年6月8日)に岐阜県多治見市で生まれる。 「社外重役の立場から専門能力を発揮し中小企業を支援する」 というグループ経営目標のもと、東海エリアにおいてNo.1の会計事務所を目指す。

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