投稿日:2019年11月10日
更新日:2023年05月01日
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繰り返しになりますが、支払手形は支払期日までに全額支払いをしなければ不渡りとなります。
さらに6か月以内に2度不渡りを出すと銀行取引停止となります。
銀行取引停止となれば実質的には商売はできませんので倒産するしかありません。
このペナルティはあまりにも大き過ぎます。このように支払手形はあまりにも危険な流動負債なので即刻発行を止めるべきです。
私は中小企業経営者には必ず支払手形の発行は止めましょうとお伝えし、止め方のアドバイスもしています。過去に100社以上の中小企業に支払手形の発行を止めさせてきました。
支払手形は不況の時に止めるのが基本です。
意外に思われるかもしれません。通常は景気が良くて業績が良い時に支払手形をやめた方が良いと考えられるかもしれませんが、業績が良いのに比例して、支払手形の残高が大きくなっているケースが多いのです。
多額の支払手形を一気になくすことは不可能なのです。
一方、リーマンショックや東日本大震災などで景気が悪くなった時が、支払手形をやめる大チャンスです。
それは景気が悪い時は支払手形の残高が少なくなっているため、少額の支払手形であれば止めやすいからです。
支払手形の止め方には3つあります。どの止め方を採用するかは、会社の状況に合わせて選択されると良いでしょう。
支払手形の発行金額の少ない取引先から、順次支払いを現金化していきます。例えば、初年度は100万円以下の支払手形を止めて現金化する、2年目は500万円以下を現金化、3年目は1000万円以下を現金化するなどのように、徐々に支払手形の発行残高を減らしていき、5年程度かけて支払手形を止めるのです。
この方法は簡単そうに見えて意外に厳しいものです。理由はこの5年間は支払手形を落とす資金と現金で支払う資金の二重の支払が続くので、5年間も資金繰りがきつい期間が続くからです。
建設業の資金をショートさせないための4つの注意点2番目の止め方は、銀行から借入れをして一気に支払手形を止める方法です。
支払手形の残高1億円あれば、1億円を銀行から調達し一気に支払手形の発行を止めます。これによって最も危険な負債である支払手形による資金調達が、銀行借入に置き換わるのです。
銀行借入は支払手形と違って「待った」が効く負債です。この借入は運転資金の資金調達なので、返済期間は5年程度が妥当でしょう。
しかしこの止め方も、現金化した支払資金の他に銀行借入の返済が5年間続くので、資金繰りは厳しいものとなるでしょう。
3番目の止め方は、数年かけて順次定期預金を増やしていき、定期預金の残高が支払手形の残高を上回った時に、一気に定期預金を崩して支払手形を止める資金に回す方法です。
例えば、現在、支払手形の残高が1億円あるとき、毎年1千万円ずつ定期預金を増やしていくことで、10年後には支払手形を無くすことができます。
定期預金を増やしている時に、リーマンショック等のような経済変動が起こって景気が悪くなると、会社の業績も悪くなり仕入金額が半減するようなケースも出てきます。
それに伴い支払手形の残高も半減して5千万円になれば、5千万円の資金で支払手形を無くすことができますから、たった5年で支払手形を無くすことができます。
資金繰りの苦しさが一番少ない③の方法がお勧めなのですが、この方法の欠点は、いつ定期預金の残高が支払手形の残高に追いつくかが決められないことです。
それでも③が一番のお勧めですね。
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このコラムの著者 : 曽根 康正
SMCグループ顧問、1959年(昭和34年6月8日)に岐阜県多治見市で生まれる。 「社外重役の立場から専門能力を発揮し中小企業を支援する」 というグループ経営目標のもと、東海エリアにおいてNo.1の会計事務所を目指す。