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会社を成長させる経営計画の作り方ー売上と人件費とキャッシュ、経常利益の目標額の決め方

会社を成長させる経営計画の作り方ー売上と人件費とキャッシュ、経常利益の目標額の決め方

投稿日:2018年08月07日

更新日:2023年06月05日

経営者が知っておくべき「利益とキャッシュの最大化」セミナー

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

皆さん、経営で重要なことは何だと思いますか。

それは利益を出すこと、そしてキャッシュを残すことです。

そして、そのために重要な要素が売上と人件費です。
利益を出すためには、経営計画を作り、売上を上げて経費を削減することが必要なのですが、その中でも特にこの2つのコントロールが経営には欠かせません。

そんな重要な要素である売上と人件費の重要度の割合は、会社の規模や経営状況によって変わってきます。
会社の規模がまだ小さく従業員が少ないうちは、売上を上げていくことが最重要課題です。
そして組織が大きくなっていくにつれ、売上と共に人件費の重要性の比重が大きくなってきます。

なぜこのような関係性になるのか見ていきましょう。

組織的に売上を伸ばす

組織が大きくなる過程で、売上を伸ばすことについて仕組み化していきます。
売上を伸ばす仕組みができてくると、あとはその仕組みをうまく使えるように、従業員を雇用し成長させて行くという段階に入ります。

しかし、売上の仕組み化がうまくできておらず、いつまでも経営者自身が走り回らなければならないような組織の体制では、人を雇ってもなかなかうまく行きません。これは経営者など限られた人でしか出来ないような経営状況だからです。

限られた人以外でも売上を上げる仕組みを作り上げることができるようになれば、組織が大きくなる可能性が広がってきます。またその取り組みも経営計画の中に入れる必要があります。

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適正な人件費とは

では、人はいつ何人雇用すればいいのでしょう?人が辞めたから、忙しいから、という理由で採用していませんか?
人件費は会社の経費の中でも非常に大きな費用です。

会社の適正人員は何人か、売上(売上総利益)に対して人件費を払い過ぎていないか等、しっかり把握し経営計画に織り込むことが必要です。

ただ、人件費は将来の投資でもあります。売上を上げていくために、新たな事業を展開するために、先に人を雇用しなければいけない局面も出てくることでしょう。そんな時、十分なキャッシュがあれば、人を採用することが出来るのです。

つまり売上と人件費と合わせて、キャッシュをコントロールしていくことも重要です。

ところでなぜ会社が潰れてしまうかわかりますか?

会社が潰れる理由は、お金=キャッシュがなくなるからです。
黒字倒産という言葉をお聞きしたことはありますか?売上があり利益があっても、キャッシュがなくなれば倒産してしまうのです。
したがって、会社=経営にとって大事なもの、重要なものは、「売上」「人」「キャッシュ」です。

この3つをコントロールし、しっかり把握し、安定した経営を自ら操縦していきましょう。

人を採用するタイミング

また「人」に関してお客様からご質問をいただきます。
「人を雇ってもいいですか?人を雇ってしまうと赤字になってしまいます。どうしたらいいですか?・・・。」

赤字とは売上より経費が大きい状態を指します。損益計算上では人件費は経費ですので、経費が増えたら赤字になることもあります。

しかし赤字になることで会社が潰れるわけではありません。会社はキャッシュがなくなるから潰れるのです。

つまり人を雇うかどうかの1つの基準にするのは、赤字かどうかではなく、キャッシュがあるかどうかです。

その採用者に対して支払う年収分のキャッシュが確保さえされていれば、採用した従業員が一年間1円も稼がなくても会社は潰れないのです。
手元のキャッシュが不安な場合、当座貸越の枠を確保しておいたり、長期借入によるキャッシュを準備しておいたりすると良いでしょう。

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経常利益の目標額の決め方

経営計画を作る際、経常利益の目標額について聞かれることが多くあります。
基準となるのは「売上高経常利益率」、つまり最終的に売上の〇%を残すか、という指標です。
どんな業種であっても、まずは売上高経常利益率10%を目標にしてみましょう。

しかしこの比率は、売上に対して経常利益が10%である。ということにすぎません。

「売上高の10%を残す」という目標の前に、必ず確認しておかなければいけない数値があります。それが、「一年以内返済長期借入金」です。
みなさんの貸借対照表に「一年以内返済長期借入金」という科目が表示されていますか。

例えば、決算期末に銀行から5000万円(返済期間5年)借りたとします。
返済期間が5年ですから、1年内に1000万円を返済しなければなりません。
この場合、決算書には、

一年以内返済長期借入金 1000万円
長期借入金 4000万円

と表示されます。

つまり、来期1年間で返さなければいけない借入金の元金が1,000万円ある、ということを示しています。借入金の元金を返済するわけですから、1,000万円キャッシュが減る、ということがポイントです。

利益が出ているのにキャッシュが減るしくみ

少し視点を変えて、損益計算書の当期利益を見てみましょう。
損益計算書の一番下に表示されているのが当期利益です。
この当期利益は、税金を差し引いた後の最終利益を表しています。

言い換えると、当期利益は1年間で増えたキャッシュを表します。

また、損益計算書には、唯一キャッシュが減らずに経費になっている科目があります。
それが、減価償却費です。

その減価償却費を加味して、「当期利益+減価償却費」が1年間の活動で増えたキャッシュということになります。
これを簡易キャッシュと呼びます。

今回例として、

当期利益 500万
減価償却費 200万

簡易キャッシュは700万で話を進めていきます。

ここで、先ほどの一年以内返済長期借入金1,000万円に戻ります。
借入金の元金返済は、借りたお金を返しているだけなので、当然ですが経費にはなりません。

つまり、簡易キャッシュ700万円を元手に、1,000万円も返済していることになります。その結果、毎年300万円ずつキャッシュが減っていくのです。

これが利益も出て税金も払っているのに、キャッシュが減っていく経営の正体です。

資金ショートを防ぐための注意点とは

キャッシュが減らない経営をするために

キャッシュが減らない経営をするためには、
借入金の元金を返済するために、毎年1,000万円のキャッシュが必要です。
つまり、減価償却費200万円を加味して、当期利益は800万以上が目標となるのです。
(当期利益800万円+減価償却費200万円=簡易キャッシュ1,000万円)

経営計画を作る際は、1年以内に返済しなければならない返済金額を元に、必ず出さなければいけない利益を計算して計画を立てるようにしましょう。
この計算なしに計画を立ててしまうと、たとえ目標が達成できてもキャッシュが減ってしまう計画になってしまいます。

それでは、キャッシュが増える経営計画を達成するにはどうすればよいでしょう。

答えは、
計画と実績を比較することにより、ズレに気づき修正行動をとり続けること。
これがキャッシュが増える経営計画を達成する唯一の方法なのです。

しかし、修正行動をとり続けることは難しく、挫折してしまうことが多くあります。
こんな時、仲間や専門家によるチェックの仕組みを取り入れると、飛躍的に継続が可能になります。

SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 経営改善 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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このコラムの著者 : 菱刈 満里子

大学卒業後、大手証券会社、文部科学省研究室秘書等を経験後SMC税理士法人に入社。 会計・税務業務に13年間携わった後、経営計画を中心とした未来経営に軸足を移す。 のべ150社以上の経営計画を作成、経営支援を行っている。

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