投稿日:2018年10月06日
更新日:2022年12月28日
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今回は、投資計画についてお話しします。
中期計画を作成する際、建物や機械などの設備投資をすることがあるかと思います。
設備にいくらまで投資して良いかを、どのように判断していますか?
その判断基準となるのが、「当座比率」と「自己資本比率」です。
投資をした後、「当座比率」と「自己資本比率」がどのように変わるかを見ることによって、設備投資の金額が適正なのかを判断することができます。
当座比率とは短期的な資金があるかどうかの指標で、
当座資産(現金預金・受取手形・売掛金)÷ 流動負債(一年以内に返済すべき負債)
で計算できます。
中小企業の経営者の方には、当座比率150%以上を基準としていただくようにお伝えしています。
これは、経営が上手くいかず利益が出なくても、流動負債を返済できる資金を持って頂きたいからです。
流動負債(一年間で返さなければいけない負債)を100とすると、当座資産(すぐに換金できる資産)が150以上はないと、短期的な資金に余裕がありません。
一方自己資本比率は、長期的な資金があるかどうかを示す指標です。
純資産(資本金等・過去からの利益)÷ 資産
で計算できます。
自己資本比率の目標比率は50%以上です。これは会社の資産の半分以上を、自己資本で賄っていることを示します。
簡単な例で説明していきましょう。
当座比率・・・・・・当座資産(18,000) ÷ 流動負債(9,000+1,000) = 180%
自己資本比率・・・・純資産(1,000+9,000) ÷ 28,000 = 35.7%
それでは、現預金で6,000の機械を購入すると、比率はどのように変わるでしょうか?
当座比率・・・・・・当座資産(18,000-6,000) ÷ 流動負債(9,000+1,000) = 120%
自己資本比率・・・・純資産(1,000+9,000) ÷ 28,000 = 35.7%
当座比率が120%まで下がります。当座比率が150%以下は、短期的な資金が十分ではありませんので、現金で購入するという判断が正しいとは言えません。
では6,000の機械を全額借入で購入してみましょう。
(借入は5年返済で、うち一年内に返済する金額は1,200とします。)
当座比率・・・・・・当座資産(18,000) ÷ 流動負債(9,000+1,000+1,200) = 160.7%
自己資本比率・・・・純資産(1,000+9,000) ÷ 34,000 = 29.4%
当座比率は150%以上ですが、自己資本比率が30%を下回ります。
自己資本比率が大幅に減少する投資は避けた方が良いでしょう。
計算の結果、設備投資の金額が大きすぎることが分かりました。
そこで、機械の投資を3,000に抑え、資金は全額借入で計算してみましょう。
(借入は5年返済で、うち一年内に返済する金額は600とします。)
当座比率・・・・・・当座資産(18,000) ÷ 流動負債(9,000+1,000+600) = 169.8%
自己資本比率・・・・純資産(1,000+9,000) ÷ 31,000 = 32.2%
当座比率は150%以上、自己資本比率も30%以上を確保しています。
上記の結果、3,000の投資であれば、借入をして投資可能であると判断できます。
設備投資をする際には、必ず「当座比率」と「自己資本比率」の計算をして、適正な投資なのか借入なのかを判断するようにしましょう。
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このコラムの著者 : 浅田 和利
30年間の会計事務所経験から、経営者が抱える多くの悩みをお聞きし、その悩みを数字で解決してきました。 今まで数字を見てこなかった方、数字は苦手と感じている方にも、分かりやすく噛み砕いた説明で疑問点が無くなるまで解説します。