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経営計画とは?事業計画との違いやメリット、書き方の例を解説!

投稿日:2023年09月12日

更新日:2023年09月12日

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この記事を読むのに必要な時間は約 12 分です。

経営計画は、会社が事業を行う上で重要です。ただ、経営計画とはそもそも何なのか経営計画を作成することでどのようなメリットがあるのか、あまり理解していない経営者の方もいるかもしれません。
そこで本記事では、経営計画の概要や事業計画との違い、経営計画を作成するメリットを解説します。経営計画の具体的な書き方の例についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

経営計画とは

経営計画は役員・社員が全社一丸となって同じ方向を向いて進めるよう、ビジョンや目標設定を行い「会社の将来なりたい姿」を明確に表すためのものです。また、決めた目標を達成するための経営戦略なども記載します。会社のなりたい姿に到達するための道筋を表すグランドデザインといってよいでしょう。
経営計画がなければ会社は進む方向を見失い組織として統一が取れなくなるかもしれません。そのため策定した経営計画は社内で共有・浸透させることが重要です。

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経営計画と事業計画の違い

経営計画と事業計画の違いがよくわからない人も多いのではないでしょうか。
経営計画は会社が将来なりたい姿に到達するためのグランドデザインであるのに対し、事業計画は、部門毎や事業毎といった経営計画を実現するための事業運用に必要なプランを計画していくものといえます。そのため事業計画は経営計画に内包されるものであり、経営計画内に事業計画も記載します。経営計画と事業計画を切り離して考えるのではなく、経営計画の一部に事業計画が含まれると覚えておきましょう。
また、なかには事業計画のみがあれば問題ないと考える経営者もいます。ただし、経営計画で会社のビジョンや目標、方針といった全社的な方向性を決めていなければ良い事業計画の策定は困難です。
ぜひ、土台となる経営計画を作成しましょう。

経営計画を作成するメリット

経営計画を作成する5つのメリットを紹介します。

自社の現状を把握できる

経営計画を作成するメリットの1つ目は、自社の現状を把握できることです。経営計画を策定するうえでは、自社の現状把握と目標と設定を行い、現状と目標の差であるギャップ=問題・課題を洗い出し、問題課題を解決していく具体的な方針を決めていきます。最初に行うのが現状把握ですがこれには自社の財務状況、強み弱み、業界内でのポジションといった分析が必要となります。
そのため、経営計画を策定するなかで自社の経営状況の全体像や実態を把握することが可能です。
今まで気づかなかった特徴や強みあるいはリスクに気づけるかもしれません。
今後自社がどうして行ったらいいのかわからなくなっている場合は経営計画の作成を行うことで自社を客観的に見つめなおす機会となり、そこから今後の自社の方向性を導き出せるでしょう。

自社の方向性が明確になる

経営計画を作成するメリットの2つ目は、自社の方向性が明確となることです。経営計画には、経営理念や基本方針、行動目標、数値目標などを記載します。そのため、事業での判断で迷った際に経営計画に立ち返り自社の方向性を改めて確認することでよりスムーズな意思決定が可能です。又、経営計画が社内に共有されていると会社の方針が明確であるため現場では方針に沿った判断がしやすく、行動のスピードが上がり企業としての成長スピードも上がります。企業が成長していくためには経営計画は欠かすことのできない重要な役割を果たしているといえるでしょう。

社員とビジョンや目標を共有できる

経営計画を作成するメリットの3つ目は、社員とビジョンや目標を共有できることです。
経営計画を社員へ共有することで全社一丸となって目標達成に向けた取り組みをすることができます。会社のなりたい姿や方向性がわかっている社員が多い企業とそうでない企業では社員が会社へもたらす貢献度は大きく違うでしょう。又、経営計画で指し示した企業の存在意義や目的を理解してもらうことで社員がより一体感のある仕事を行う期待値も高まります。社員がモチベーションを上げて仕事を行ってもらうためにも経営計画は社員に共有しましょう。

会社の信用力が上がる

経営計画を作成するメリットの4つ目は、会社の信用力が上がることです。
作成した経営計画を取引先や銀行へ共有することで、「先を見据えた経営をしているしっかりした会社」と認識され外部の会社に対する信用力が高まることが期待できます。特に銀行に経営計画を提出することで自社の事業内容や事業方針に対する銀行の理解度が高まり信用を得やすくなります。銀行は信用力の高い企業には融資をしますが、信用力の低い企業には融資をしません。銀行から融資を得やすくするためにも経営計画を作成し共有するようにしましょう。ただし、経営計画だけでは融資が受けられない場合もあるため、融資を受ける前に提出書類は顧問税理士などに相談してください。

会社と経営者が成長できる

経営計画を作成するメリットの5つ目は、会社と経営者が成長できることです。
「2020年度版小規模企業白書」によると、経営計画の内容が十分であると評価している企業で売上が大幅増加もしくは増加していると回答したのは51.6%であり、経営計画の内容が十分と評価されていない企業は41.7%となり、約10%もの開きがあります。又、経常利益についても評価している企業46.5%なのに対し、そうでない企業は33.4%とこちらは約13%も低くなっています。そのため、経営計画の作成は売上や利益の増加を後押しし企業を成長させる原動力と言えます。一方で経営者にとって経営計画を作成すると自身を成長させる機会になります。経営計画の作成においてはなりたい姿になるためにどのように進めていくのか手順を考えなければなりません。そして立てた手順を実際に実行し成功と失敗を繰り返すことでどのように行動をすれば成功しやすくなるかといったいわゆる「勝ちパターン」データの蓄積ができます。自社の経営データを蓄積していくことで、自社が新事業を始めるときには根拠や自信につながります。このように経営計画は繰り返し作成し続けることで経営者はおのずと自身を成長させることができます。

経営計画があるかないかで今後の自社の将来に大きな影響を与えます。ぜひ、経営計画を作成して会社と経営者自身を成長させていきましょう。また、経営計画を作成する際には日々多くの会社の経営計画策定に携わっている税理士や中小企業診断士と一緒に作成していくことをお勧めします。。

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経営計画の種類

経営計画は、一般的に「長期経営計画」、「中期経営計画」、「短期経営計画」の3種類があります。

長期経営計画

長期経営計画とは、一般的に5~10年後を見据えて作成する経営計画のことです。10年後も会社が存続するためには何が必要なのかを考えます。
特に、長期経営計画ではなにがあってもぶれることがない会社のビジョンや目標を立てることが重要です。日々、周りの環境や競合他社の動きは変動しますが、その中でも自社が掲げるビジョンと目標を明確にして10年後になっていたい自社の姿を表しましょう。

中期経営計画

中期経営計画とは、一般的に3~5年後を見据えて作成する経営計画のことです。中期経営計画では、企業のなりたい姿実現に向けた事業方針、経営目標、経営戦略、行動計画、数値計画を作成します。市場環境や競争力の変化を考慮しながら、より具体的な目標や戦略を立て理想の状態に近づけるための内容にしていきます。また、必要に応じて事業分野ごとにどうやって目標を達成するかの具体的な計画も記載していきます。

短期経営計画
短期経営計画は単年度計画ともいわれ、直近1年間の月別の経営計画の事です。短期経営計画を予算と呼んでいる企業もあります。月別の数値計画を作成し、それを実現するための個別目標と期限を設定し、目標を達成するためのアクションプラン(具体的な行動計画)を策定します。短期的な目標に基づき、効率的な業務遂行や戦術的な判断を行うための指針となります。また、市場の変化や競合他社の動向に応じて計画を調整することも重要です。

経営計画書の構成

経営計画の構成はこれがなければいけないという決まりはありません。ただし、少なくとも行動計画と数値計画はあった方がよいでしょう。行動をとった結果会社がどうなるのかを知りたいところですが、会社の良し悪しは結局のところ数値で判断されるものです。そのため数値計画のない経営計画は片手落ちと言えるでしょう。尚、一般的に経営計画に記載される項目の主だったものは以下の通りです。

  1. 経営理念・経営方針
  2. 事業環境・経営状況
  3. 経営目標
  4. 経営課題・経営戦略
  5. 行動計画
  6. 数値計画

以下ではそれぞれの項目について解説していきます。

経営理念・経営方針

経営理念は企業の存在意義や価値観といったものを端的に表したものです。企業理念やミッション、社是としている企業もあります。呼び方やその定義、内容も様々ですが、概ね企業の存在意義や社会的な目的、価値観を表現したものであり、企業の永続的な愿望を示すものです。又、企業のブランドイメージや組織文化に影響を与えるものといえます。

以下に一例をあげていきます。
SMCグループ:ミッション
「SMCグループはお客様と共に成長し創業百年企業を創出し続けます」

トヨタ自動車:企業理念
「人・社会・地球環境との調和を図り、モノづくりを通して持続可能な社会の実現を目指します。」

JALグループ:企業理念
「JALグループは、全社員の物心両面の幸福を追求し、
一、お客さまに最高のサービスを提供します。
一、企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します。」

ユニクロ:ステートメント
「服を変え、常識を変え世界を変えていく」

以上のように企業によってその呼び方から内容に至るまで千差万別です。経営理念を考える場合は他の企業の経営理念を参考にしながら定めていくとよいでしょう。多くの企業はホームページに掲載しています。

一方で、経営方針は企業が経営理念の実現に向かって目標や採るべき行動、方向性、実現方法といったものを示すものです。企業が組織としての取り組み方を明確にしたものと言え、より具体的で実践的な方針を示します。こちらも、企業指針や行動指針といった形で表現されていることもあり、企業によって千差万別です。ただし、企業としての今後の方針を表すものであることから、経営理念と共に作成することが望ましいでしょう。

事業環境・経営状況

いわゆる外部環境分析や自社分析を行い、自社がおかれている事業環境や経営状況を理解し、自社の現状把握を行います。外部環境分析においては、市場(顧客)や競合他社の動向、社会情勢、商品トレンドといった自社のおかれている経営環境を分析します。自社分析は事業の特徴、強み、弱み、財務分析といった形でいわゆる「ヒト、モノ、カネ、情報」の状況把握を行います。そして外部環境分析と自社分析を行った結果を機会・脅威・強み・弱みの項目でまとめたSWOT分析を行うとより客観的に自社の現状把握ができるでしょう。これらを行うことで、自社の問題点や課題、今後の向かうべき方向性が把握できます。

経営目標

事業環境・経営状況で自社の現状把握ができますのでそれを踏まえて経営目標と定めます。経営目標と概ね3つの項目に分けられます。一つ目は数値目標です。例えば、売上や利益、社員数といったものです。企業は利益やお金がなければ成り立ちませんので数字は重要です。必ず数値目標は入れるようにしましょう。二つ目が事業目標です。どういった企業になっていたいかや業界での立ち位置、社会貢献度といったものが望ましいでしょう。3つ目は組織目標です。「企業は人なり」といわれるように人がいなければ存続できません。そのためどういった組織体制にするのか具体的に表していきましょう。未来その組織図も加えるとなおよいです。
更には経営目標をたてるときは「「SMART」の手法を用いて行うとよりよいでしょう。
「SMART」とはSpecific(具体的である)、Measurable(測定可能である)、Achievable(達成可能な)Relevant(適切である)、Time-bound(期限がある)の5つのモデルの頭文字をとったものです。この5つのモデルを意識して経営目標を設定するとより明確な目標設定ができます。

経営課題・経営戦略

経営課題とは現状と目標(なりたい姿)のギャップの事をさし、課題以外にも問題点を内包する場合もあります。又、企業の目標達成に向けて支障をきたす可能性があるものであり、解決策を見つける必要があります。世の中に問題や課題がない企業はないと言われており、どのような企業でも必ず問題・課題を抱えています。それを事業環境・経営状況分析と経営目標(なりたい姿)を比較することで明確にできます。そして経営課題を解決していくための方針を定めたものが経営戦略となります。経営戦略は経営課題解決に向けた方向性を示したものであり課題解決のテーマともいえるでしょう。例えば「新しい市場や顧客セグメントへの進出」「既存の製品やサービスの改善や多様化」「従業員の教育や育成への投資」といったものがあげられます。
経営課題を正確に把握し適切な経営戦略を選択することが、企業の成長や競争力維持に不可欠な要素です。

行動計画

行動計画は経営戦略を実現していくための具体的な活動策のことをいい、アクションプランとも呼ばれます。いつまでに、だれが、何を、どのように、やるのか具体的な活動内容を定めます。更には新規契約〇件、客単価〇円アップ、といったように定量的な目標設定も加えられると行動計画の実施状況のチェックを行いやすくなります。
行動計画で目標達成に向けた明確なロードマップと行動指針を示されるので、社員はどのような活動に取り組めばよいか明確になり、企業全体が前進していくことになります。行動計画(アクションプラン)は計画的かつ効果的な結果の達成をサポートする中核的な項目と言えます。

数値計画

数値計画は、会社の儲け具合と共に資金や負債の状況を数字で表すものです。一般的には会社全体の損益計画、貸借計画(資産・負債計画)、キャッシュフロー計画(資金繰り計画)、の3つワンセットで作成することが望ましいです。これによりお金がどこから生まれ何に使われいくら残っていくのかがはっきりわかります。企業はお金が無くなれば倒産しますのでお金の管理は重要です。又、企業の経営状態の良し悪しはすべて数値で判断されます。そのため数値計画のない経営計画は意味を成しません。かならず自社の利益やお金の流れがわかる数値計画を作成しましょう。
尚、数値計画を含めて自社のみで作成することが困難と思われる方は経営計画作成経験が豊富な税理士や中小企業診断士の支援を受けて作成するようにしましょう。

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まとめ

経営計画は会社が将来にわたって存続し続けるために、又、成長していくためには欠かせないものです。経営計画を全社員が共有・理解して日々の業務に取り組んでいる会社とそうでない会社とでは、経営状況や成長度合いに大きな差が出ます。ぜひ、経営計画を作成して企業成長に活かしていきましょう。
ただし、経営計画を自社だけで作成していくのは難しい場合もあるでしょう。その場合は経営計画の作成経験豊富な税理士や中小企業診断士へ相談しましょう。税理士や中小企業診断士は多くの企業の経営計画の作成に携わっているためより適切なアドバイスが可能です。

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このコラムの著者 : 小川弘郎

中小企業診断士 金融機関OB 20年勤務した金融機関在籍時には融資担当や企業改善支援担当を歴任、融資現場における多数の経営支援や事業再生の実践経験を持つ。会計業界に転身後は経営計画に基づく経営サポートを行っている。経営戦略、経営管理、資金繰りが専門。

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