投稿日:2020年03月29日
更新日:2023年03月17日
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中期経営計画が5年後のワクワクする「目標設定」であるのに対し、単年度経営計画はその目標を達成するために、当期何をするべきかを明確にした「具体的な計画」です。
新年度を迎える前に翌期の単年度計画を作成し、この計画を達成するための具体的なアクションプランを立案します。売上計画、人件費計画、経費計画、投資計画、そして最終利益まで綿密に計画します。
ところがいざスタートすると、取引先からの受注減、トップ営業マンの退職等の予期せぬ事態が発生し、計画した売上に全く到達しないということは良くあることです。計画とズレてしまうことで、目標達成を諦めていませんか。
もし経営計画がなければ、売上が足りないというズレに気づくことはありません。どれだけ頑張れば良いのかもわからず、ただ目の前の仕事を追いかけて走り続ける。これだと精神的におかしくなってしまいます。
一方、経営計画があれば、計画と比較して売上がいくら足りないのか、具体的な差が一目で分かります。いくらズレているのかが明確に分かれば、そのズレを修正することを考えれば良いのです。ただひたすら頑張るという精神論ではなく、具体的方法は見つかるものです。これが経営計画の醍醐味です。
ところがズレがさらに大きくなり、どんなに手をつくしても計画通りの売上を達成できないような状況は経営によくあることです。当初作る単年度経営計画は、確実に達成できる計画ではなく少し高めの目標にしますので、売上などは大きくズレます。
一度作った計画をどんな手段を使っても達成する、という気持ちは大切ですが、ズレがどんどん大きくなると、それを修正する気もなくなり経営計画が全く機能しなくなります。
このような場合どうすれば良いでしょう。
この時に行うのが予算修正です。上半期(6ヶ月間) を目安に、計画と実績が大きく乖離している場合は、下半期の予算を修正します。これは、計画に対して実績が少ない場合だけではなく、多い場合も修正が必要です。修正することで着地利益が見やすくなるのです。
高い目標で作った計画に半年間チャレンジし、なんとか計画に近い数字が出せているなら良いのですが、明らかに計画達成は無理だと判断した場合は、迷わず下方修正しましょう。
下半期は、下方修正した単年度計画を達成できるように行動していくことで、修正しない計画で大きくズレてあきらめてしまうより良い結果を生みます。
下半期の計画修正は、良い結果を生みます。迷わず修正し、5年後のワクワクする目標に近づいて下さい。
ストラック図で逆算。いくら利益を出せば良いか教えます。ある工務店の縮小していく計画についてお話ししていこうと思います。
新築個人住宅を建設するA工務店
全盛期は、毎月新築戸建てを完成させ、1級建築士・大工を数多く雇用し、資金も潤沢で、毎年拡大していく工務店でした。
そんな工務店も、大手ハウスメーカーの参入や人口減少など時代の流れにはついていけず、毎年売上は減少し、新築戸建ては年に1棟ほど、リフォームを中心に受注するものの利益が出ず、従業員も数名になりました。
このまま会社を閉めようかと思ったようですが、借金があり、簡単に閉めることもできません。
そんな中、次のような条件で中期5ヶ年計画を作ることにしました。
従来のように拡大し、キャッシュを増やし、100年企業になるような計画から、規模は小さいが、無借金で、誰にでも渡せる会社になるための計画に変更したのです。
ワクワクする計画ではないかもしれません。
しかし、この道筋を中期5ヶ年計画という形で数値化し、アクションプランを考え実行していくことで、なんとかなるという安心感を得ることができたようです。
拡大してキャッシュを増やす計画、一方縮小して無借金になる計画。
目的に合わせて経営計画を作ると良いのです。
どんな状況であっても、経営計画は必ず必要であることは覚えておいて下さい。
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このコラムの著者 : 浅田 和利
30年間の会計事務所経験から、経営者が抱える多くの悩みをお聞きし、その悩みを数字で解決してきました。 今まで数字を見てこなかった方、数字は苦手と感じている方にも、分かりやすく噛み砕いた説明で疑問点が無くなるまで解説します。