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事業再構築補助金はいつから?具体的な申請方法を認定支援機関が解説

事業再構築補助金はいつから?申請方法は?

投稿日:2021年05月07日

更新日:2023年01月06日

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この記事を読むのに必要な時間は約 10 分です。

新しい補助金制度「事業再構築補助金」をご存知ですか?中小企業にとって過去最大級といわれる補助金額や予算額の大きさ、使い道の広さで注目されています。2021年の補助金制度の中で大注目のこの補助金制度。認定支援機関や金融機関の支援が要求されていることも特徴です。このコラムでは制度概要やいつから始まるのか、また具体的な申請方法を交えて、認定支援機関に所属する元銀行員の中小企業診断士が解説していきます。
尚、この記事は2021年2月19日現在の情報に基づいて作成しています。

事業再構築補助金の内容がわかります
補助金を受けられる要件がわかります
補助金申請に向けて準備しておくことが分かります

事業再構築補助金とは


(経済産業省:事業再構築補助金リーフレット)

制度概要

事業再構築補助金」とは2021年1月の通常国会で成立した令和2年度第3次補正予算の中に予定されている「中小企業等事業再構築促進事業」のことです。2021年3月に公募(補助金申請への応募)が開始される予定となっています。
ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、企業の思い切った事業再構築を支援することを目的としています。そのためコロナ禍の影響を受けた中小企業等が新事業展開をしていくために必要となる費用を補助してくれる内容となっています。
予算規模1兆1,485億円とこの手の補助金制度としては過去最大級であり、代表的な補助金制度であるものづくり補助金等(2,300億円)の約5倍も予算額が設定されています。この予算額からも、多くの企業にこの補助金使って新たな事業へチャレンジしコロナ禍を乗り越えてほしいという国からのメッセージを感じます。
尚、補助金制度の詳しい内容が記載してある「公募要領」は、現時点では発表されておりません。2021年3月の公募開始前には公表される予定です。

補助金額

(ア) 中小企業

 (経済産業省:事業再構築補助金リーフレットより抜粋)
一般の中小企業の方は通常枠が対象となってくると考えていただければよろしいかと思います。最大で6,000万円という点が今までにないですね。ただし、補助率2/3なっていますのでご注意ください。1/3は自己負担ということです。例えば6,000万円の補助金を得たいのであれば、総額9,000万円の経費が必要です。補助金6,000万円(2/3)、自己負担3,000万円(1/3)となります。
尚、卒業枠は400社限定であり、事業計画期間内に中小企業から中堅企業へ成長することが求められますので、対象となる企業は少ないと考えて良いでしょう。

(イ) 中堅企業

 (経済産業省:事業再構築補助金リーフレットより抜粋)
中堅企業向けでは中小企業向けと比べて通常枠でも補助額が大きくなっています。ただし、補助率が1/2(補助額4,000万円超は1/3)と中小企業に比べ少なくなっています。

(ウ) 特別枠

(経済産業省:事業再構築補助金リーフレットより抜粋)
緊急事態事態宣言や不要不急の外出・移動自粛等の影響により、売上が減少している方には補助率がアップする特別枠が設けられます。中小企業においては補助率が3/4へ拡充されます。なお、特別枠と通常枠を同時に申請はできませんので、ご注意ください。ただし、「特別枠」で不採択となったとしても、加点の上、「通常枠」で再審査してくれます。

中小企業・中堅企業の定義

この補助金制度は、中小企業向けと中堅企業向けに分かれています。それぞれの定義は以下の通りです。
(ア) 中小企業
中小企業基本法に定められた以下の要件を満たす企業をいいます。
中小企業向け補助金総合支援サイトミラサポPlus
(出典:経済産業省 中小企業向け補助金総合支援サイトミラサポPlus)
それぞれの業種において、小規模事業者は従業員数で、中小企業者は資本金の額又は従業員の数で定められています。尚、中小企業者は、資本額と従業員数のどちらかをクリアしていればOKです。自社の企業が中小企業要件に当てはまるのか確認しておきましょう。
(イ) 中堅企業
中堅企業の定義はまだ発表されておりません。少なくとも中小企業要件を超える規模の企業ということになります。公募要領の発表を待ちましょう。

補助の対象となる経費

事業再構築に必要な費用(経費)が全て補助金の対象となるわけではありません。
補助の対象となる経費の例が中小企業庁発行の「事業再構築補助金の概要」に示されています。
対象
対象外
(出典:中小企業庁:事業再構築補助金の概要)
主要経費は主に設備投資にあたるものが大半です。一方で、関連経費は主に設備投資に付随する経費や営業に必要な経費といったところです。注意したいのはこの関連経費には上限が設けられる予定となっています。詳細は公募要領で確認しましょう。
対象外経費で特徴的なのは、不動産や車両、汎用品(パソコン、スマートフォン、家具等)の購入費が対象外経費になっている点です。いずれも新事業には必要となるケースが想定されますが、この補助金の対象外となっていることに留意しましょう。

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補助を受けられる対象

補助を受けるためには補助金の申請が必要です。それにはまず以下の3つの対象要件を全てクリアする必要があります。

売上減少要件

【申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等】
まずはこの売上減少要件をクリアしないと補助金申請ができませんので、必ずご確認ください。3月に申請すると仮定すると、直近6ヶ月とは9月~2月を指します。そして任意の3ヶ月とは、9月~2月の内から適宜選択することになります。10月・11月・12月の3ヶ月でもいいですし、10月・11月・2月でもOKということになります。仮に10月・11月・2月を選んだとするとまずはその各月の売上高を合計します(これを売上高Aとします)。そしてコロナ以前の同3ヶ月を前年の10月・11月・2月とすると、その各月の売上高合計額を算出します(これを売上高Bとします)。売上高Aが売上高Bより10%以上減っていれば売上減少要件はクリアです。尚、「コロナ以前」とは「2019年」及び「2020年1月~3月」を指します(中小企業庁:事業再構築補助金の概要 より)。

事業計画策策定

【事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む中小企業等】
ア)事業計画
事業計画とは申請書に記載する事業計画のことを指します。この事業計画については、経済産業省が⽰す「事業再構築指針」に沿った事業計画であることが求められています。なお、「事業再構築指針」は現時点ではまだ公表されておりません。この補助の公募要領が発表されるタイミングに合わせて公表されると考えられます。
又、補助金の審査は事業計画を基に行われるため、採択されるためには「合理的で説得力のある事業計画」を策定することが必要です。事業計画に含めるべきポイントの例が以下のように国から示されています。
ポイントの例
(出典:中小企業庁:事業再構築補助金の概要)
少なくとも事業計画には上記ポイントが記載されている必要があるということになります。

イ)策定支援者
そしてこの事業計画は「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)や金融機関と策定する」ことも要件となっております(尚、認定支援機関については後述しておりますので、そちらをご参照ください)。事業計画は認定支援機関と策定することが必要であり、なおかつ、補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関も参加して策定すること、とされています。尚、金融機関が認定支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。そのため、申請書に付する事業計画を自社単独で作って提出しても要件を満たさないことになります。必ず認定支援機関又は金融機関と策定するようにしましょう。
更に「認定支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む」ことも要件とされています。この「一体となって」は具体的にどのようなことかはまだ示されておりません。こちらも公募要領の発表を待ちましょう。

付加価値額増加

【補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成】
補助事業終了後とは、簡単言えば申請した経費額の支出が全て終わった状態、を指します。また、付加価値額は、営業利益+減価償却費+人件費、となります。補助金の対象となる事業をしっかりやって利益を上げてください、というメッセージです。尚、この基準を満たせなかった場合にペナルティを課せられる場合も考えられます。こちらも公募要領で必ず確認しておきしょう。

上の3つの要件をクリアして初めて「応募資格」を得たことになります。その上で審査を受け合格(採択)して初めて補助を受けられることになります。

補助を受けられる具体的事業例


(経済産業省:事業再構築補助金リーフレットより抜粋)
経済産業省発行の「事業再構築補助金リーフレット」の2枚目に、活用イメージとして15の具体的な事業例が挙げられています。こちらが参考になるでしょう。そのうちから3事例を抜粋してご紹介します。
①小売業
衣服販売業がコロナの影響で売上が減少した。その打開策として店舗営業を縮小し、ネット販売やサブスクサービスへ事業転換を図る
②製造業
航空機部品を製造していた会社がコロナの影響で部品そのものの需要がなくなった。その打開策として、今後成長が見込まれるロボット産業や医療機器の部品製造の新分野へ進出する
③飲食業
レストランがコロナの影響で客足が減り売上減少した。その打開策として、思い切って店舗を廃止し、宅配や持ち帰り需要にこたえるためオンライン専用注文サービスを開始する

いずれも、今のままではジリ貧なので、状況を打開するために新たな事業や分野へチャレンジする、といったことが求められます。そのため補助金申請に必要となる事業計画には、活用イメージにあるような内容がしっかり記載されている必要があります。

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認定支援機関とは

この補助金の要件の一つとして「事業計画を認定支援機関や金融機関と策定し」とあります。では、この認定支援機関はどういったものなのでしょうか?
認定支援機関とは「経営革新等支援機関」に認定されている機関のことを指します。これは法律に基づき、「税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上である」と国が認定する制度です。主に、税理士、金融機関、商工会議所、中小企業診断士がこの認定を取得し、認定支援機関として活動しています。
認定支援機関をお探しになるのであれば、中小企業庁HP「経営革新等支援機関一覧」で検索できます。補助金申請前に認定支援機関や金融機関の協力を得られるようにしておきましょう。

申請方法

この補助金の申請は電子申請で行うことになります。jGrants(電子申請システム)での申請受付が予定されています。この電子システムのID等(GビズIDプライム)の発行には2~3週間要する場合があります。補助金の申請をお考えの方は事前にID取得をしておきましょう。申請に必要や書類は公募開始前に公表される「公募要領」に詳細が記載される予定です。必ず「公募要領」でその内容を確認しましょう。

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その他2021年の補助金

第3次補正予算には事業再構築補助金以外にも中小企業生産性革命推進事業(予算額2,300億円)として、①ものづくり補助金②持続化補助金②IT導入補助金が予定されています。前年から引き続き予算が確保されている補助金制度です。事業再構築補助金の利用が難しい方はこちらの利用を検討されてもよいでしょう。
①ものづくり補助金
新製品・サービス・生産プロセスの改善に必要な設備投資等を支援
【通常枠】 補助上限:1,000万円 補助率 中小2分の1、小規模3分の1
【特別枠】 補助上限:1,000万円 補助率:A類型3分の2、B・C類型4分の3
【事業再開枠(特別枠の上乗せ)】補助上限:50万円 定額(10分の10)
②持続化補助金
小規模事業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓等の取組を支援
【通常枠】 補助上限:50万円 補助率:3分の2
【特別枠】 補助上限:100万円 補助率:A類型3分の2、B・C類型4分の3
【事業再開枠(通常枠・特別枠の上乗せ)】 補助上限:50万円 定額(10分の10)
【追加対策枠(通常枠・特別枠・事業再開枠の上乗せ)】補助上限:50万円
③IT導入補助金
ITツール導入による業務効率化等を支援
【通常枠】 補助上限:30~450万円 補助率:2分の1
【特別枠】 補助上限:30~450万円 A類型:3分の2、B・C類型4分の3

まとめ

事業再構築補助金はその名称や予算額・補助額の大きさから、中小企業等へ新事業展開への思い切ったチャレンジを促す主旨となっています。ただ単に補助金が欲しいというレベルではおそらく採択されることは難しいでしょう。認定支援機関や金融機関と一緒にコロナ禍に打ち勝つビジネスプランをしっかり練りましょう。それが、補助金を受けるためにも自社の事業を成長させるためにも必要となります。

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このコラムの著者 : 小川弘郎

中小企業診断士 金融機関OB 20年勤務した金融機関在籍時には融資担当や企業改善支援担当を歴任、融資現場における多数の経営支援や事業再生の実践経験を持つ。会計業界に転身後は経営計画に基づく経営サポートを行っている。経営戦略、経営管理、資金繰りが専門。

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