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今後贈与がなくなる!?暦年贈与が廃止になった場合の有効な相続税対策

今後暦年贈与が無くなる?

投稿日:2021年12月21日

更新日:2023年06月19日

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暦年贈与とは

暦年贈与とは1月1日〜12月31日までの1年間の間に110万円までの非課税枠を使って贈与をする方法です。非課税で次の世代に贈与することで、将来発生する相続税の負担を軽減することが可能です。
また、一人につき110万円まで贈与をすることができますので、子供や子供の配偶者、孫など、贈与相手を増やすことで多くの額を贈与することができます。
例えば子供が2人、子供の配偶者が2人、孫が4人いる場合、8名に110万円を贈与することで、年間880万円を非課税で次の世代に財産を移転することができます。
暦年贈与は継続することで大きな効果があります。先程のケースであれば880万円を3年間贈与すれば2,640万円もの金額を非課税で贈与することが可能です。
暦年贈与は簡単で確実、かつ節税効果も大きいため有効な相続対策として多くの人が活用しています。

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暦年贈与がなくなる?

多くの人が活用している暦年贈与ですが、将来的に暦年贈与の非課税枠がなくなる可能性があると言われています。
その理由は2020年12月に発表された税制改正大綱に資産移転の時期の選択に中立的な相続税・贈与税に向けた検討を開始すると記述があったからです。
現在の日本の贈与税は110万円の非課税枠を超える贈与を行った場合、相続税よりも高い税率で贈与税が課されています。そのことが、高齢の富裕層から若者への資産移転を妨げているとの見方があります。
一方で110万円までの非課税枠を使い、少しずつ財産を移転すれば相続税をかなり抑えることができます。
このような状態を是正するために、相続税と贈与税を一体で改正することも検討すると言われています。その改正のひとつが非課税枠の撤廃です。
考えられる可能性としては贈与税の非課税枠を撤廃し、相続税と一体で課税するという制度です。
相続税と一体で課税されることで、贈与税の方が相続税よりも高いという問題がなくなり、若者世代への財産移転が早く進む可能性があります。若者世代への財産移転が進めば消費が活性化され、景気拡大につながるでしょう。
また、非課税枠が撤廃されることで税金の役目でもある富の再分配をすることが可能になります。贈与税の非課税枠があることで、長年かけて生前贈与を行えば富裕層でもかなり相続税を軽減することができました。
贈与税の非課税枠を撤廃し、相続発生時に精算をすることで富裕層の相続税対策は難しくなるでしょう。

暦年贈与が無くなった場合の相続税対策

暦年贈与が無くなった場合、どのような相続税対策を行えばよいのでしょうか。具体的に確認していきましょう。

生命保険の非課税枠を活用する

生命保険の非課税枠とは生命保険の死亡保険金として受け取ることで、一定の金額まで非課税で相続することができる制度です。生命保険の非課税枠は法定相続人×500万円で計算します。例えば法定相続人が配偶者と子供2人の場合、500万円×3人=1,500万円までは非課税で贈与することが可能です。
生命保険を活用した相続税対策は簡単で確実に相続税を減らすことができるというメリットがある一方で、相続人の数によって対策できる金額が決まっているため、それ以上対策を行うことができないというデメリットがあります。

不動産を購入する

預金などの金融資産を不動産に代えることで相続税対策を行うことが可能です。不動産には様々な価格がありますが、売買の価格である時価と相続税の評価をする際の相続税評価額は異なります。
土地であれば路線価という基準で評価しますが、路線価は時価の8割程度です。建物は固定資産税評価額で計算します。
築年数などにもよりますが、固定資産税評価額は時価の7割程度と言われています。
つまり1,000万円の土地を購入した際の相続税評価額は800万円程度。1,000万円の建物の購入した際の相続税評価額は700万円程度となりますので、現金2,000万円を支払い土地・建物を購入した場合、相続税評価は土地・建物合計で1,500万円程度になります。購入時の時価2,000万円と相続税評価額の1,500万円の差額となる500万円が不動産を購入することで、相続税の課税対象財産から減らすことができる金額です。
不動産を購入することで実物資産として価値を保ちながら、相続税評価を下げることができるのです。

各種特例を活用して贈与する

贈与税には暦年贈与以外にも非課税で贈与をすることができる特例があります。特例を上手に活用することで、効率的に若い世代に資産を移転することが可能です。いくつかの贈与の特例についてみていきましょう。

教育資金贈与の特例

教育資金贈与の特例とは教育資金として贈与する際に1,500万円までの一括贈与が非課税で贈与できる制度です。
孫の教育資金として祖父母から贈与する際に利用されることが多い制度です。贈与された資金は信託銀行などで管理され、教育資金として使ったことがわかる領収書を提出し、払い出しを受けることができます。

住宅取得資金贈与の特例

住宅取得資金贈与の特例とは、子どもなどが住宅を取得するための資金の贈与を受ける際に一定額が非課税になる特例です。2021年中であれば、省エネ等住宅でが1,500万円まで、省エネ等住宅以外が1,000万円まで非課税で贈与をすることができます。

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暦年贈与がなくなれば相続税対策は大きく変わる

暦年贈与はこれまで、相続税対策として長年活用されてきました。もし、暦年贈与の制度がなくなれば、これまでの相続税対策とは大きく方向性を変えざるを得ない方も多いでしょう。
税制改正が行われる際は増税の部分と減税の部分が同時に打ち出されることも多くあります。
税制改正によって新たな特例が加わることもありますので、ご自身にとって有利な特例がないか確認してみるようにしましょう

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このコラムの著者 : 岡本 英樹

大学卒業以来、銀行業務・税理士業務と、一貫して中小企業の経営と相続の事案と向き合う。 モットーはどんな相談にも「相談してくださる方の想いに真摯に向き合うこと」。 「他の意見を聞いてみたい」「他にはできない相談をしたい」など、身近な問題から難題まで何でもご相談ください。

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