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破産弁護士コラム~当たり前のことを当たり前にやること

三年の備えなきを国その国にあらず

投稿日:2020年10月11日

更新日:2023年01月06日

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1.二宮尊徳翁

報徳思想で有名な日本を代表する哲学者の二宮尊徳翁は、『分度』(入るものよりも出ていくものが多ければ、いずれ無くなること)と『推譲』(余ったものは、他人に譲り、将来に譲り、公に譲る)と言っています。
また、四書五経の『礼記』を引用して、『国、九年の蓄えなきを不足といい、六年の蓄えなきを急といい、三年の蓄えなきを国その国にあらず』とも言っています。
誰が見ても、深く考えなくても、子供でも、誰もがそれは正しい、良い、と感じること、それを「天道」と言い、それに従って生きることを『至誠』といい、『勤勉』、『分度』、『推譲』が大切であると説明されています。

私は弁護士も税理士もやっており、仕事柄ごちゃごちゃと理屈でものを考える傾向があるように思っていましたが、二宮尊徳翁の報徳思想を知った時に、こん棒で頭を殴られて、『お前はアホか』と言われたような気がしました。
今では、理屈でものを考えないように注意し、原理原則や何が当たり前であるか、あるべき姿とは何かを考えるようになりました。

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2.節税と『分度』

『分度』は、入るものよりも出ていくものが多ければ、いずれ無くなるという当たり前のことですが、損得勘定で真逆の行動を取っていることがあります。
節税は、正にこの『分度』に反しているのです。
節税は、決算書上の税引前の利益を少なくすることで課税額を減らし、結果として税金の納付額を下げることです。

当然に会社の現預金残高を減らします。(現預金残高を減らすことなく税金の納付額を少なくするのは税額控除ですが、該当する場合はそれを活用して当然ですから、節税などとは言いません。)

目先の税金の納付を減らすために、せっかく残った現預金残高を減らす節税は、何か不測の事態が起これば支払い不能の状態となるかもしれない、極めて危険な方法です。
これを積極的に経営者に勧める税理士は、会社を悪くしているのです。また節税を積極的に行おうとする経営者は、目先の税金納付額のことだけを考える近視眼的な経営者といえます。

たとえば、桶に穴が開いていて、少しずつ水が漏れているとします。漏れている水よりも多くの水を桶に足さない限り、いずれ桶の中身はなくなってしまいます。それなのにわざわざ桶の穴を大きくして、積極的に桶の水を減らすことは愚かなことです。
色々な小理屈や勉強不足の結果、それを積極的にやっているのが、節税税理士と節税経営者です。

節税税理士と節税経営者は、桶の水がギリギリ残っていればそれで良し、と考えていると思います。確かに水が残っていれば会社は潰れません。しかし急に状況が変わった時に、水がなくなる危険性が非常に高いということを忘れていると思います。
取引先の売掛金の回収が遅れたり、取引先が倒産したりすれば、すぐに桶の水がなくなり、自分の会社も倒産してしまうでしょう。倒産に至った段階で、節税経営者が節税税理士に恨みごとを言ったとしても、もう手遅れです。

節税税理士にとっては、関与先が倒産しようと知ったこっちゃありません。『実力のない会社がまた一つなくなっただけだ、新規で顧問先を増やそう。』としか考えません。
2008年に起こったリーマンショックは100年に一度しか来ない、などとふざけたことを言っていた経営者も、今回のコロナウイルスで考え方を改めざるを得なくなったと思います。

日本は現在、40年かけて人口が30%以上も減少するという大きな下り坂を降り始めたところです。
『分度』に反する経営を行い、節税を積極的に行う節税経営者と節税を積極的に勧める節税税理士は、近いうちに必ず淘汰されることになると思います。

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このコラムの著者 : 白木智巳

ロータックス法律会計事務所 代表弁護士 昭和45年12月生まれ(いて座のA型)•大阪府豊中市出身 平成元年 • 大阪府立豊中高校卒業(豊陵会41期) 平成6年 • 同志社大学経済学部卒業 平成14年 • 弁護士登録(大阪弁護士会)(修習期55期) 平成19年 • 中国留学(上海復旦大学)・上海協力法律事務所で執務(現日本法顧問) 平成22年 • 白木法律事務所開設 • 桃山学院大学大学院 経営学研究科 講師(平成27年まで) • 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 国際化支援アドバイザー就任 • 大阪商工会議所 国際部 中国ビジネス支援室 外部相談員 • 京都企業支援ネットワーク 中国法分野相談担当 平成24年 • 近畿税理士会へ税理士登録 • 白木法律会計事務所に名称変更 平成28年 • ロータックス法律会計事務所へ名称変更

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