投稿日:2022年04月04日
更新日:2023年07月11日
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政府が推進しているカーボンニュートラル社会の実現に向け、国を挙げて様々な手法でカーボンニュートラルに適した建物や設備の導入を進めています。
その施策の一環として民間企業がカーボンニュートラルへ設備投資をした場合の税制上、会計上の優遇措置が容易されています。
どのような設備を導入した場合に対象になるのか、優遇措置の内容とともに詳しく解説していきます。
カーボンニュートラルとは、(温室効果ガスを排出した量)ー(温室効果ガスを吸収または除去した量)=0
とするものです。
現実的に温室効果ガスの排出を完全にゼロにすることはできないので、排出した量と同じだけの量を吸収または除去することで温室効果ガスの排出総量をゼロにするというものです。
国は企業に対しても温室効果ガスの排出抑制を税制や会計の優遇措置を設けることで促しています。
国は民間企業に対して、「カーボンニュートラル投資促進税制」という制度を用意して、カーボンニュートラルへの投資を促しています。
カーボンニュートラルへ投資をすることによってどのような優遇措置を受けることができるのか、具体的にどのような資産が対象になるのか、詳しく解説していきます。
カーボンニュートラル投資促進税制では、カーボンニュートラルへ設備投資をした場合、以下のいずれかの優遇措置を受けることができます。
会社の収支状況などによって最適な方法を選択するとよいでしょう。
対象になる法人は、青色申告書を提出しており認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応事業者となっています。
本制度は令和6年3月31日までに設備投資を行い、その設備を事業用に供した場合のみ適用を受けることが可能です。
制度を利用するためには、事前に申請を行い採択を受ける必要があるので、カーボンニュートラル投資を行う計画がある事業者の方は、早めに計画を立てて申請を行いましょう。
カーボンニュートラル投資促進税制が適用される資産として、国税ホームページには次のように記載されています。
『認定エネルギー利用環境負荷低減事業適応計画に記載された生産工程効率化等設備等でその製作又は建設の後事業の用に供されたことのないもの』
参考
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5925.htm
経済産業省のホームページには生産工程効率化等設備等の具体的な内容が記載されており、それによると、対象の設備は次の2つとされています。
大きな脱炭素化効果を持つ製品としては、次のような設備を挙げることができます。
生産工程等の脱炭素化と付加価値向上を両立する設備の導入の適用を受ける場合には、『設備投資による効果以外も含めて、炭素⽣産性を3年以内に7%以上向上させる計画』を作成し認定を受けなければなりません。
具体的には「再生エネルギー電力へ切り替えと同時に生産設備やエネルギー管理設備の刷新を行う場合」などを挙げることができます。
本制度は投資する資産の金額が大きくなります。そのため事前に事業所管省庁への計画申請を行い、認定を受けなければなりません。
なお、審査に通過するためには計画終了年度に⿊字となることや、事業に伴うCO2排出量が削減できる内容であることなどが求められます。計画の認定(計画開始)を予定している時点から、約2カ⽉程度前には事業所管省庁へ事前に相談するようにしてください。
参考
https://www.meti.go.jp/policy/economy/kyosoryoku_kyoka/cnpoint.pdf
本制度で特別償却する場合には、対象資産の購入金額の50%を特別償却することができます。
例えば、対象設備を10億円で購入した場合には5億円の減価償却費を計上できるので、非常に大きな金額を経費計上することが可能です。
本制度で税額控除を選択する場合、対象設備の取得価格の最大10%を税額控除することが可能です。ただし、法人税額の20%を上限となっております。
例えば、対象設備を10億円で購入した場合には最大1億円を法人税から税額控除できます。
なお、10%の税額控除ができるのは「エネルギーの利用による環境への負荷の低減に著しく資する一定のもの」のみです。
⽣産⼯程等の脱炭素化と付加価値向上を両⽴する設備導⼊に該当する投資で、炭素生産性が3年以内に7%以上の向上に留まった場合には税額控除は5%までしか受けることができないので注意しましょう。
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このコラムの著者 : 舩田 卓
1972年愛媛県生まれのA型。 愛媛県立松山商業高校卒業後、東京IT会計専門学校に進学。 在学中に税理士試験を全国最年少20歳で合格。 そのまま専門学校の専任講師となり、税理士試験の受験指導を担当。 22年間務めた講師の道から飛び出しSMC税理士法人に入社。