投稿日:2022年04月04日
更新日:2023年06月16日
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2020年、菅前総理大臣がカーボンニュートラルを宣言し、自治体や民間企業のみならず、個人の住宅までもカーボンニュートラル化が急速に進んでいます。
そして、個人がカーボンニュートラルに対応した住宅を建築することによって税額控除を受けることができる仕組みがあります。
カーボンニュートラルに対応したマイホーム建築によってどのような税額控除を受けることができるのか、詳しく解説していきます。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を同一にすることです。
カーボンニュートラルが実現することによって、温室効果ガスが地球上に増えないので温暖化の抑止に繋げることができます。
住宅においては、できる限り断熱性や機密性を高めて、温室効果ガスを発生するエアコンを使用しない住宅がカーボンニュートラルに対応した住宅だということができます。
では、カーボンニュートラルのマイホームを建築した場合にどのような税額控除を受けることができるのか、詳しく解説していきます。
脱炭素のカーボンニュートラル住宅を建築すると、税額控除を受けることができる場合があります。
これは、以前から存在した住宅ローン減税の仕組みを活用したものです。
住宅ローン減税の仕組みと、どのような住宅が「脱炭素のカーボンニュートラル住宅」と認定されて控除を受けることができるのか、詳しく見ていきましょう。
住宅ローン減税とは、住宅ローンの年末残高に一定の割合を乗じた金額を、所得税や住民税から控除を受けることができるというものです。
控除を受ける為に注意して頂きたいのは、入居1年目に必ず確定申告を行わないといけないということと、ふるさと納税と控除が被ってしまう事です。ふるさと納税を行う場合には、住宅ローン控除の金額を加味する必要があることです。
まず入居1年目の確定申告に関しては従業員(給与所得者)でも確定申告が必須です。給与所得者の場合は2年目から年末調整のみで控除を受けられるようになりますが、1年目の確定申告を忘れないようにご注意ください。
次にふるさと納税に関しては所得税や住民税の控除が、住宅ローン控除と併用が可能なため、ふるさと納税による節税メリットがなくなってしまうケースもありますのでご注意ください。
住宅ローン減税は住宅の種類によって次のように控除限度額などが分かれています。
住宅の区分 | 借入限度額 (令和4,5年) |
借入限度額 (令和6,7年) |
控除率 | 控除期間 |
---|---|---|---|---|
認定住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 | 0.70% | 13年 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 | 0.70% | 13年 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 | 0.70% | 13年 |
上記以外の住宅 | 3,000万円 | 2,000万円 | 0.70% | 13年 (居住年が令和6年と7年は10年) |
例えば、認定住宅を建築(令和4年居住)するために借りた住宅ローンの年末残高が4,000万円であれば、その0.7%の28万円が所得税から控除され、控除しきれない場合には住民税から控除される仕組みです。
住宅の区分によって控除される限度額と控除期間が異なり、基本的には認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅にメリットがある仕組みとなっています。
カーボンニュートラル住宅を建築すると、これら3つのいずれかに該当する可能性が高くなります。
では、具体的にどのような住宅が該当するのか、詳しく見ていきます。
認定住宅とは、低酸素住宅と認定長期優良住宅を指します。
低酸素住宅として認められるための条件は次の通りです。
参考:国土交通省|『エコまち法に基づく低炭素建築物の認定制度の概要』
https://www.mlit.go.jp/common/000996590.pdf
また、認定長期優良住宅とは長期間良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のことです。
「長期優良住宅の建築及び維持保全の計画」を作成し、所管行政庁に申請することで認定を受けられます。
ZEH水準省エネ住宅とは、住宅の一次エネルギーの年間消費量がおおむねゼロになる住まいのことです。
具体的には次のような手法で実現します。
これらの手法で住宅にかかるエネルギー消費をゼロにしているため、ZEH住宅もカーボンニュートラル住宅だと言えるでしょう。
省エネ基準適合住宅とは「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」に定められた基準を満たした住宅です。
「一次エネルギー消費量に関する基準」と「外皮熱性能に関する基準」を満たしている必要があります。
2014年のエネルギー基本計画においては「2020年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネルギー基準の適合を義務化する」と明記されていることから、新築であれば省エネ基準を満たした住宅であることが基本です。
そのため、中古住宅以外は、基本的に認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅のいずれかの税額控除を受けることができます。
なお、カーボンニュートラルに適した住宅を建築(購入)すると、税額控除以外にもフラット35の金利優遇や、不動産登記における登録免許税の優遇など、さまざまなメリットを享受することができます。
重ねてとなりますが、住宅ローン控除を受ける為にはサラリーマンであっても初年度には確定申告が必要です。書類をそろえたり申告書を記入したりと少々面倒ではありますが、住宅ローン控除はトータルで何百万円もの控除が受けられるので利用しない手はありません。
ただ確定申告は慣れないうちには時間の掛かる作業です。調べながら、税務署に聞きながらご自身で申告されても良いですが、ミスがあれば結局修正申告や更正の請求で更に時間を取られることになります。
控除額を考えれば税理士に依頼してもトータルでプラスになります。税理士への依頼もご検討ください。
SMC税理士法人では、金融機関OBや税理士をはじめ経験豊富なプロが御社の円滑な 税務処理、確定申告 をサポートいたします。お電話やお問い合わせフォームから相談可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
このコラムの著者 : 舩田 卓
1972年愛媛県生まれのA型。 愛媛県立松山商業高校卒業後、東京IT会計専門学校に進学。 在学中に税理士試験を全国最年少20歳で合格。 そのまま専門学校の専任講師となり、税理士試験の受験指導を担当。 22年間務めた講師の道から飛び出しSMC税理士法人に入社。