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ふるさと納税を使ってウクライナへ寄付をする方法をわかりやすく解説!

ふるさと納税を使ってウクライナへ寄付する方法

投稿日:2022年07月14日

更新日:2023年05月30日

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この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。

ロシアによるウクライナ侵攻で子供を含む多くの民間人に犠牲が出ています。また800万人を超えるウクライナの人たちが国境を越え、ウクライナ国内でも推定1570万人が緊急の人道支援と保護を必要としているといわれています。
そんなウクライナとウクライナ人への支援の機運が高まっていますが、実はふるさと納税を使ってウクライナ支援をする方法があります。この記事ではその方法と、一般的な寄付をした場合との違いについてわかりやすく解説します。

ふるさと納税を使ったウクライナへの寄付

「ふるさと納税」は、2008年5月から開始された寄付金税制の一つで、その目的は「地方と大都市の格差是正」「地方の税収減対策」「地方創生」とされています。
本来の趣旨から外れるはずですが、ウクライナ支援のためふるさと納税を活用した寄付を呼び掛ける自治体が増え続けています。
まずはふるさと納税を利用したウクライナへの寄付の仕組みと、今一度考えなければならないふるさと納税制度の問題について考えていきます。

ふるさと納税でウクライナ支援をする仕組み

ふるさと納税を活用したウクライナへの寄付は、これまでもあった「寄付金の使い道の指定」を活用したもので、形式上はふるさと納税をする個人が「ウクライナ支援」を指定します。
受付をした自治体の使途は様々ですが、大きく分けると2種類になります。一つはウクライナ支援を目的とした基金等への寄付で、自治体は取りまとめ役を担うことになります。
もう一つは、ウクライナからの避難民を受け入れている自治体が、避難民への生活支援のほか、物資の支援、医療や教育の提供など、支援活動のための使途です。
現実的には地方自治体単独で直接支援というのは難しいため、多くの自治体が寄付金の取りまとめ役となって、日本赤十字社の「ウクライナ人道危機救援金」等の基金へ寄付を行っています。

自治体によって違う「寄付の貢献度」

自治体がふるさと納税で取りまとめたお金を、基金等に寄付する場合でも、その対応が分かれています。ほとんどの自治体では「ウクライナ支援のためのふるさと納税」に返礼品はないのですが、ごく一部の自治体で米やアクセサリーなど返礼品を提供しています。
ではふるさと納税で1万円払ったとして、自治体から基金へ寄付される金額はいくらくらいなのでしょうか。自治体によって以下の3パターン分かれていて、ウクライナへの貢献度の高い順に並べてみました。

返礼品 寄付に回る金額 貢献度
無し 全額(事務手数料は自治体が負担する)を寄付 100%
無し 寄付金から事務手数料を引いた残りの金額を寄付 約80%
無し 寄付金から返礼品の費用と事務手数料を引いた残りを寄付 約50%

ここでいう事務手数料とは、寄付受付にかかる諸経費や寄付金受領証明書の発行にかかる費用のことで、約2割として試算しています。
これを見ても分かるように、ふるさと納税をする自治体によって、ウクライナへの貢献度がずいぶんと変わってくるのです。

本当の意味の寄付金は2千円

ふるさと納税は寄付金税制のひとつですが、「寄付金税額控除の特例控除」という点が最大の特徴であり、所得によって変わってくる控除限度額の範囲内であれば、実質的な自己負担は2千円だけです。一部では「2千円で返礼品もらい放題」などと言われていますが、そのような制度になっています。
では実際に誰が負担しているかといえば、ふるさと納税をした人の居住している自治体です。ふるさと納税の寄付先が1年間で5か所以下の場合、ほとんどの人は「ワンストップ特例制度」を使い、寄付額から2千円(自己負担額)を除いた全額が翌年の住民税から控除されます。つまり住民税が安くなる分を前払いするようなものです。
トータルで自己負担になるのは2千円だけとなり、残りは居住地の自治体が住民税の目減りというかたちでウクライナ支援していることになります。

少し疑問を感じる、ふるさと納税によるウクライナ支援

ふるさと納税制度に関しては、もともと疑問視する意見がありました。代表的なものとしては「住民税とは行政サービスを受けるための対価のようなものなのに、居住地以外に税を付け替えるのは税制として変だ」というものです。また制度利用者の関心が返礼品に集中した結果、一時期は過度な返礼品合戦の様相を呈していました。
しかし今回の「ふるさと納税を使ったウクライナへの寄付」は、そもそも地方創生とはかけ離れた使い道なうえ、このフィルターを通すことで本人負担は減り、実際の負担者は居住地の自治体ということが、少なくとも寄付金としては違和感を覚えます。

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一般的な寄付行為とふるさと納税の違い

これまでも大規模災害などがあると、個人で災害地向けの寄付は行われており、東日本大震災で日本赤十字社に集まった寄付金だけで3,429億円以上にもなりました。
ではウクライナ支援のための寄付金を、それまでと同じようにした場合、ふるさと納税を使ってウクライナに寄付したケースとどのような違いがあるのか、見ていくことにしましょう。

ウクライナ支援のための寄付

ウクライナ支援のための寄付金は、多くの受付窓口があります。日本赤十字社や日本ユニセフ協会のような特定公益増進法人や、UNHCR協会といった認定NPO法人などが代表的です。また在日ウクライナ大使館へ寄付することもできますし、避難民学生への支援のための寄付金を募る学校法人への寄付もあります。
基本的に信頼できる寄付先であれば、ウクライナ支援のため役に立つのですが、寄付先によっては後述する寄付金控除を受けられないので、事前に確認することをおすすめします。

寄付金と税金

納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合、寄付金控除として所得控除(特定のものは税額控除も選択可能)できます。具体的には以下の寄付先になります。

寄付先 控除額の選択
都道府県、市区町村
政党、政治資金団体
自動車安全運転センター、日本司法支援センター、
日本私立学校振興・共済事業団および日本赤十字社
公益財団法人、公益社団法人、学校法人など
認定NPO法人等
その他震災関連

ウクライナ支援の寄付金であれば、日本赤十字社や認定NPO法人、場合によっては学校法人が寄付金控除の対象になりますが、在日ウクライナ大使館への寄付は控除対象になっていません。
所得控除できる金額は、

  1. その年に支出した特定寄附金の額の合計額
  2. その年の総所得金額等の40パーセント相当額の2つのうち低い金額から2千円を引いた金額(寄付金控除額)

です。
税額控除を選択すると、政党・政治資金団体の場合は寄付金控除額の30%、その他の場合は40%の金額を納付すべき所得税から控除できます。つまり所得税の税率が低い方は税額控除の方が得になります。

本当の意味での寄付金

寄付とは「公共事業、公益・福祉・宗教施設などへ、金品など財産を無償で贈ること」です。寄付金控除で税額が安くなる部分は「無償」とは言えませんが、公益に資する寄付行為を推進する意味で寄付金控除が存在しています。
しかし、ふるさと納税を使ってウクライナに寄付をすると、ほぼ全ての金額が寄付をした個人ではなく、居住地の自治体が負担することになります。その金額のうち75%は地方交付税で補填される(東京都を除く)のですが、やはり個人の寄付とはいえないでしょう。
本来の意味を考えると、選択肢のなかでは在日ウクライナ大使館への寄付こそが、相応しいような気がします。

まとめ

「ふるさと納税を使ったウクライナへの寄付」は、完全に各自治体の善意によって行われています。しかし窓口となっている自治体の振興に役立たないばかりか、居住地の自治体にとっては負担しかなく、そのうえ寄付をしたという感謝も受けられないという、奇妙な状態となっているのが現実です。

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このコラムの著者 : 舩田 卓

1972年愛媛県生まれのA型。 愛媛県立松山商業高校卒業後、東京IT会計専門学校に進学。 在学中に税理士試験を全国最年少20歳で合格。 そのまま専門学校の専任講師となり、税理士試験の受験指導を担当。 22年間務めた講師の道から飛び出しSMC税理士法人に入社。

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