投稿日:2020年03月29日
更新日:2023年01月06日
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前回のコラムでは資金繰り表の作り方をお伝えしましたが、今回は作成した資金繰り表をどう使うかをみていきましょう。
資金繰り表の使用場面は主に3つ想定されます。①自社入出金チェック用、②自社経営管理資料、③銀行融資提出資料、の3つです。
これは前回のコラムでお伝えした、「日次資金繰り表」を主に使用することになります。社長よりも経理担当の方が主な使用者になることが多いでしょう。
まずは入金チェック用。資金繰り予定表を作成してあれば、予定通り売掛金が入金されているか、現金売上が口座へ入金されているかわかります。そうすることで、売掛金の回収遅れや請求忘れなどを防止できます。
次に出金チェック用。これも資金繰り予定表が作成してあれば、予定より支出が多くなっていないか、又、振込忘れなど支払うものを忘れていないか確認できます。
そして、経理担当者の不正防止用。残念ながら規模の大小に関係なく横領事件は起こります。中小企業も例外ではありません。資金不足を追究したら経理担当者が不正を働いていたことが発覚した、ということもままあります。これは経理担当者を信用しすぎて任せっきりにしてしまったことが要因です。資金繰り表を経理担当者に作成させ、社長も予定表と実績表の付け合わせを行っていると、相互牽制が働くため不正防止にも役立ちます。
経営者や経営幹部が試算表や決算書など業績を共有することは多いですが、資金繰り予定表の共有を行うことも重要です。会社のキャッシュが無くなれば倒産します。そのため、売上・利益だけでなく、お金の状況もしっかりチェックを行わなければなりません。また、会社のお金は会社のためのお金であり、社長のためのお金ではありません。このままやっていって会社のお金が足りるのか、それとも不足するのか、使い方は適正か、といった点を、幹部クラスまで共有しておきたいものです。
銀行融資において、求められる資料は何も決算書や試算表だけではありません。受注明細や資金繰り表は最低限必要です。試算表、資金繰り表、受注明細、この3つがあると、事業の過去と現在と未来が概ねつかめます。ただ、資金繰り表を作成している企業は圧倒的に少ないです。ましてや経営計画やそれを使った経営管理を行っている企業はなおさらです。銀行は経営管理ができている企業を評価する傾向にあります。銀行からの信用力を得るためにも、最低限資金繰り表は用意しましょう。資金繰り表ない=自社のお金の管理ができていないとみなされ、それだけで信用力を落としてしまします。
いかがでしたでしょうか?資金繰り表の使い道はお金の入出金予定だけではありません。不正防止、情報共有、対外交渉、の資料にもなりえます。自社のお金の未来を見据えつつ、資金繰り表を有効活用するようにしましょう。
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このコラムの著者 : 小川弘郎
中小企業診断士 金融機関OB 20年勤務した金融機関在籍時には融資担当や企業改善支援担当を歴任、融資現場における多数の経営支援や事業再生の実践経験を持つ。会計業界に転身後は経営計画に基づく経営サポートを行っている。経営戦略、経営管理、資金繰りが専門。