投稿日:2021年11月05日
更新日:2023年05月26日
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税理士と契約をする場合、毎月帳簿を見てもらいアドバイスを受けられる「顧問契約」だけでなく、年一決算と税務申告のみを税理士に依頼する契約形態もあります。
などにとっては選択肢の一つとして検討されることが多いのではないでしょうか。
この記事では顧問契約なしで年一決算と税務申告のみを税理士に頼む場合(以下「年一契約」とします)のメリット・デメリットをご紹介します。その上で年一契約でもメリットが大きいと思われるケース、そして年一契約を依頼する場合のポイントも合わせてご紹介します。
目次
まず税理士と契約をする場合、一般的に大きく「顧問契約」と「年一契約」に分かれます(それ以外の形態もあります)。顧問契約は毎月顧問料が発生し、年間を通して税理士のサポートを受けることができます。一方で年一契約は決算申告の時だけ税理士の関与を受けることになります。
このため年一契約は顧問契約に比べて税理士が関与する期間は短く、範囲も少なくなります。
では顧問契約なしで年一決算と税務申告のみを税理士に頼む場合、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。それぞれを見ていきます。
まずメリットですが、以下2点をご紹介します。
まずは税理士費用です。顧問契約では毎月サービスを受けられることに対して年一契約は年に一回の決算申告業務のみ。顧問契約に比べて税理士費用を抑えることができます。
税理士に依頼したいが費用負担が不安な方には、まず検討したい契約形態ではないでしょうか。
決算、申告業務は手間がかかる上に専門的知識が必要なことも多くなります。全て自分でやるよりも、決算申告部分だけでも専門家である税理士に依頼すれば事務作業量の大幅な短縮になるだけでなく、正確な申告ができるため安心と信頼を得られますし、もし税務調査が入った場合でも安心です。
一方でデメリットもあります。以下の3点をご紹介します。
年一契約の場合、決算日が終わってから資料を税理士へ提出して決算、申告をしてもらうことになりますが、節税対策の多くは決算日前に検討、対策をする必要があります。節税対策は通年で行い、決算日の数か月前にはさらにその期の所得を予測しつつ対策をしていくのが効果的です。
決算日後での節税対策は限られてしまうので、所得が多く出ている場合には年一契約では節税対策が不十分になる可能性があります。
顧問契約のメリットの一つは、年間通していつでも専門家に相談できることです。税理士の業務は決算、申告をするだけでなく経営上のアドバイスや資金調達の支援など多岐に渡ります。年一契約では決算申告時以外に専門家にアドバイスを受けることができません。
経営をする上では会社の経営状態を可能な限りリアルタイムで把握することが重要になります。社内の経理体制がしっかりしておらず、帳簿の記帳を長期間放置すると、年一契約では期中では正確な業績が把握できなくなります。
顧問契約だと決算日を迎える前に期中の段階で会社の業績を確認し納税予測をしていくことが通常です。このため期中でも税理士が確認した正確な業績の数字を追えます。
このようにメリット、デメリットがありますが、どのようなケースなら年一契約が効果的でしょうか。以下3点、年一契約が効果的になりそうなケースをご紹介します。
まずは会社規模がそこまで大きくなく取引が単純なケースです。このケースでは期中の業績をご自身で把握し易く、専門家による毎月のアドバイスまでは不要なこともあります。また所得もない又は少ない場合は節税対策もあまり必要がないことも考えられます。このようなケースでは年一契約だと税理士費用も抑えられるので効果的です。
顧問契約では年間を通して専門家に経営、節税アドバイスを求めることが可能ですが、期中でそこまで相談する事項もなく、決算申告時のみのアドバイスだけで良いと感じられる場合は年一契約が効果的です。
社内の経理体制がしっかりしている
社内の経理体制がしっかりしていて、期中から正確な記帳ができ会社業績が把握できて専門家への相談事項も少ない場合には年一契約が効果的です。
顧問税理士とは?メリットや費用相場を解説!最後に実際に年一契約で依頼する場合のポイントをご紹介します。
一口に年一契約と言っても、申告書作成だけを依頼する、期中の記帳から全て依頼する、領収書整理から全て丸投げするなどその依頼範囲は様々です。自社の状況に合わせて依頼すると費用面でも効果的です。
年一契約でも申告及び会社の一年間の業績の説明、決算日後でも可能な節税対策などスポットのアドバイスを得られるか確認すると良いでしょう。決算申告の事務作業だけ依頼するのではなく、アドバイスを得られるのは専門家に依頼するメリットです。
このように年一契約にはメリットとデメリットがありますが、年一契約が効果的かどうかは法人の状況により様々です。メリットとデメリットをよく把握して、自社に合った税理士への依頼形態を検討してみてはいかがでしょうか。
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このコラムの著者 : 舩田 卓
1972年愛媛県生まれのA型。 愛媛県立松山商業高校卒業後、東京IT会計専門学校に進学。 在学中に税理士試験を全国最年少20歳で合格。 そのまま専門学校の専任講師となり、税理士試験の受験指導を担当。 22年間務めた講師の道から飛び出しSMC税理士法人に入社。